—— 都市別・訪問済み店舗インデックス ――
台湾夜市の象徴とも言える一皿、蚵仔煎(オアチェン)。
ぷるぷるの地瓜粉、鉄板で焼ける卵、甘いソース。
しかし、その実態は地域ごと・店ごとにまったく別物で、単一の「標準形」は存在しない。
本記事は、訪問した台湾全土の蚵仔煎を整理した索引である。
目次
■そもそも蚵仔煎とは何か?(歴史と構造)
起源と地形、サバイバル食としての成り立ちについては、以下の記事を参照。
→ 蚵仔煎の誕生|干潟と兵糧が生んだサバイバル料理
(※内部リンク)
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まず押さえる「5つの構成要素」
蚵仔煎を理解するには、料理ではなく構造として分解すると分かりやすい。
● 1. 粉(地瓜粉)の比率
蚵仔煎の正体は、牡蠣のオムレツではなく 「デンプン料理」。
粉の比率で世界が変わる。
- 高粉率:台南型。ぷるぷる・どろりと重い。
- 低粉率:台北型。薄く焼き、卵の食感が勝つ。
● 2. 卵
台湾南部は卵が多く、北部は少なめ。
タンパク質の厚みが、そのまま地域性になる。
● 3. 牡蠣
すべての店の生命線。
台南・嘉義の牡蠣は小ぶりで味が濃く、北部は少し大ぶり。
夜市の人気店は「仕入れの良さ=牡蠣の鮮度」で決まる。
● 4. 青菜
多くの店は 小白菜(ターサイ) を使う。
店舗によっては春菊、キャベツなど変わり種もある。
● 5. ソース
蚵仔煎の最大の個性。
「甘いケチャップ+醤油+酢+でんぷん」で作る赤いソースは、台湾文化そのもの。
- 台南:甘さ強い
- 台中:甘さ控えめ、醤油が主張
- 台北:赤みが薄く、酸味が強い店も
③ 卓上の作法
蚵仔煎には、明確な「完成の手順」がある。
● 1. まずソースをよく馴染ませる
甘いソースは料理の半分。
とろみがあるため、かけたら広げるのが正解。
● 2. 牡蠣は探し当てる感覚で
均一には入っていない。
厚めの粉層を割って探す瞬間は、宝探しのようだ。
● 3. 食べ終わったあとに喉が渇く
これは砂糖とデンプンの宿命。
仕上げに冷たい冬瓜茶があると最高。
都市別・訪問店インデックス(随時更新)
以下は実際に訪問し、記録した店の一覧。
■ 台北(Taipei)
■ 台中(Taichung)
■ 高雄(Kaohsiung)
関連する独り言
以下は、蚵仔煎という文化についての個人的な考察。
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