高雄・苓雅区 苓雅自強夜市についての記録
夕方の苓雅自強夜市では、屋台の湯気の脇をスクーターが途切れなく行き交い、乗ったまま弁当を受け取る人もいる。昼には生鮮食品が並ぶ同じ軒先が、夜になると別の速度で動き始める。
世界の中心ではなく、
その少し外側で見つけた記録。
夕方の苓雅自強夜市では、屋台の湯気の脇をスクーターが途切れなく行き交い、乗ったまま弁当を受け取る人もいる。昼には生鮮食品が並ぶ同じ軒先が、夜になると別の速度で動き始める。
キャンベルストリートの黄色いショップハウスでは、観光客が入口で足を止める横を、地元の人が慣れた様子で通り過ぎていく。店内に入ると、カレーの匂いに混じって、砕いたスパイスのような鋭い香りが立っている。
高雄の南側にある漢神百貨本店は、駅から歩き、いまも新しい建物ではない。それでも入口にはエルメスやシャネルが並び、上階のホテルからは外へ出ずにその売場へ降りられる。
ガラスケースの中には、揚げ鶏や羊肉、魚、野菜の鍋が隙間なく並び、注文のたびにその上から黒・赤・黄色のソースが重ねられていく。指差しで選んだ具材は、最後には境目のない茶色い洪水に沈む。
台湾の食堂で「炒青菜」と「葱爆牛肉」を並べて見ると、どちらも鍋料理なのに、一方の字だけが火花のような気配を帯びている。厨房ではその「爆」が、油の跳ねる短い時間として現れる。
Jalan TARの色褪せた緑の看板の下で、皿の上では赤や黄色より先に、粘度のある漆黒が立ち上がる。狭い店内では、立場も言葉も違う客が肩を寄せ、同じ重い昼食に手を伸ばしている。
茶色いソースに覆われ、具材の境目もほとんど見えないナシカンダーの皿を、会計係のアネは一瞥して12リンギットと告げた。オクラを一つ足したのに、いつもの金額は変わらなかった。
夜市で蚵仔煎を頼むと、牡蠣と卵を包んだ生地の上に、あのピンク色のたれがかかって出てくる。粉ものなのに、ソースもマヨネーズも卓上には置かれていない。
夜の豆花屋で、紅豆やタピオカ、芋園を添えた温かい豆花を受け取る。甘さと食感が揃った器の上には、まだ塩気と脂肪の入り込む余地が残っている。