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高雄・苓雅区 古猗園潅湯包についての記録

高雄の苓雅区にある古猗園灌湯包は、昼から深夜まで蒸籠の湯気が絶えない店だ。
派手な看板ではなく、通りに自然に馴染む外観をしている。
店の前を歩くと、蒸気と汁の匂いが静かに流れてくる。

海鮮を包む湯包の存在

この店の湯包は、豚肉だけの小籠包とは少し違う。
皮の中に海鮮をそのまま閉じ込めた「灌湯包」が主役になっている。

有夠蝦灌湯包は、蝦を丸ごと包んだものだ。
尻尾が皮の端から少し見えることもあり、蒸籠の中に積まれた湯包の形が独特だ。

鮮蚵灌湯包には、大粒の牡蠣が使われている。
豚肉の脂に海鮮の旨味が加わり、汁の味が濃くなる。
蒸し上がった湯包の中で、海と肉の風味が重なりあう。
一口で食材の方向性が変わる料理になっている。

その場でしか食べられない理由

海鮮系の湯包は、店内限定だ。
持ち帰り用の容器に入れると、移動中に皮が破れて汁が漏れる。
皮が極端に薄いことが理由で、店の張り紙にも「内用限定」と書かれている。

構造的に持ち帰れないため、ここに来なければ食べられない。
夜市のついででも、わざわざ訪れる客が多いのは、この制約があるからだと思う。

牛肉とチーズの湯包

古猗園には、牛肉を使った湯包もある。
さらにチーズを合わせた「牛肉起士」も並んでいる。

豚肉の小籠包とは方向が違い、餡に厚みがあり、溶けたチーズが汁に混ざる。
伝統的な構造とは距離があるが、味はきれいにまとまっている。
湯包が進化する過程の一つとして見ると、違和感よりも発展の方がよく見える。

皮の薄さと、汁の多さ

湯包の皮はかなり薄い。
蒸籠を開けると、わずかな膨らみの中に汁がぎりぎりと保たれているのがわかる。
箸で持つと、縫い目の部分が揺れる。

噛むと、汁が一気に流れ出る。
皮の強度がぎりぎりで、汁が皮に吸われる前に食べる必要がある。
肉と海鮮の汁が混ざり合う瞬間が、この店の湯包の中心になっている。

夜まで続く営業

古猗園は深夜1時まで営業している。
夜市の帰りに寄る人も多く、遅い時間帯でも蒸籠からは湯気が上がり続ける。

食堂というより、夜の街の途中に置かれた「湯包の休憩所」に近い。
高雄の夜は湿度が残り、通りを行くバイクの音が一定のリズムで続く。
その中で、蒸籠の音だけが一定の速さを保っている。

店の空気とその位置

店内は明るく、木の椅子とテーブルが並んでいる。
古い食堂の要素と、新しい点心店の要素が半分ずつ混ざっている。
装飾は少なく、食事のためだけの空間がある。

復興一路沿いの周辺は住宅街が中心で、人の往来も静かだ。
夜遅い時間帯は、客の声と蒸籠の音がそのまま通りに漏れていく。

湯気の余韻

湯包を食べ終えて外に出ると、蒸気の熱がしばらく袖に残る。
湿気の多い高雄の空気と混ざり、香りだけがゆっくり薄れていく。
深夜の道を歩くと、蒸籠の音が遠ざかり、街灯の下で匂いだけが途切れる。


古猗園潅湯包

住所: 802高雄市苓雅區興中一路385號

営業時間: 11:00 – 01:00 (月曜定休)

アクセス: MRT三多商圏駅から徒歩約5〜8分。興中夜市の近く。

地図https://maps.app.goo.gl/eL2cgpRVJ3nBLwas8

海鮮系(エビ、カキ)の湯包はイートイン限定。皮が非常に薄く、持ち上げると崩壊しやすいので注意。深夜営業あり。


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