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食文化の記録
台湾ドリンクのフタについての記録
―― シーリングマシンが変えたドリンク文化 ―― 台北の交差点。信号待ちのざわめきに、一定のリズムが混じる。 カチャン。ウィーン。プシュ。 ドリンクスタンドの前で、透明なフィルムが一瞬で張られる音だ。カップの上で、熱が走り、蓋が閉じる。 この音は... -
食文化の記録
ベトナム高原に根付いた台湾茶についての記録
―― 海を渡った分家の存在感 ―― ベトナム中南部、ラムドン省。標高は1,000メートルを超え、朝晩はひんやりとする。 赤土の起伏に沿って、茶畑が広がる。段々の形、畝の間隔、作業道の取り方。どこか見覚えがある。 南投県の鹿谷や名間。台湾中部の茶産地と... -
食文化の記録
台湾のお茶・東方美人についての記録
―― 傷ついた葉が甘くなる理由 ―― 東方美人。台湾茶の中でも、最上位に置かれる名前だ。 だが、茶葉を前にすると戸惑う。緑、白、赤、黄、褐色。五色が混ざり合い、形は小さく縮れている。整然とした烏龍茶のイメージからは遠い。 枯れかけた雑草のようにも... -
食文化の記録
台湾高山の茶とコーヒーの共生についての記録
―― 茶畑の隙間で育つコーヒー ―― 標高1,000メートルを超える、雲林や嘉義の山間部。視界を埋めるのは、段々に連なる茶畑の緑だ。 だが、よく見ると、その隙間に赤い点が混じる。コーヒーの実である。 製茶工場の前を通ると、空気が二層に分かれていること... -
食文化の記録
台湾のコーヒー栽培についての記録
―― 歴史が生んだ「高貴な風味」 ―― 台北のカフェでメニューを開くと、違和感に出会う。パナマ・ゲイシャやブルーマウンテンの隣に、台湾産コーヒーが並び、同等かそれ以上の価格が付いている。 一杯二千円、時に三千円。台湾といえば茶の島だという先入観... -
食文化の記録
台湾高山茶の栽培についての記録
―― 霧を食べる葉と、遅れる時間 ―― 阿里山や杉林渓。車がすれ違うのもためらわれる山道の先に、茶畑は現れる。断崖に張り付くような斜面に、幾何学模様が刻まれている。 平地なら、機械で刈り取り、短い周期で回せる。それでも人は、わざわざここまで登る... -
食文化の記録
台湾のマンゴーとライチの物流についての記録
―― 太陽の覇者、時間の逃亡者 ―― 初夏の台湾。市場は赤い果実で満ちる。 マンゴーは、五月から八月まで棚の中央を占拠する。長く、安定して、王のように居座る。 ライチは違う。五月下旬、ほんの二、三週間だけ現れ、気づけば姿を消す。 同じ南国の果実で... -
食文化の記録
台湾とフィリピンの骨なしサバヒーについての記録
―― 222本の骨を抜く指先 ―― 台南の市場は、夜明け前から動いている。 まだ暗いうちに魚が届き、水を打った台の上に並べられる。銀色の腹が、蛍光灯の光を跳ね返している。 その中に必ず、虱目魚(サバヒー)がある。他の魚より数が多く、他の魚より早く売... -
食文化の記録
台湾の高級魚「ハタ」の物流についての記録
―― 宴席を支配する生存の価値 ―― 披露宴や忘年会の席で、最後に姿を現す魚がいる。ハタである。 価格は一尾数千元。この値段は、味覚だけに対して支払われているわけではない。生きたまま、目の前に運ばれてきたという事実に対する対価だ。 ハタ、とりわけ... -
食文化の記録
台湾のリンゴとイチゴについての記録
―― 亜熱帯で生き延びる二つの戦略 ―― 台北のスーパーの青果コーナー。冬になると、赤いリンゴとイチゴが同じ棚に並ぶ。 どちらも本来は寒冷地を好む果実だ。亜熱帯の島で、しかも「国産」として成立していることに、わずかな違和感が残る。 理由は単純では...