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食文化の記録
台湾・蚵仔煎の起源と歴史についての記録
―― 1661年、オランダ包囲戦が生んだサバイバル食 ―― 台湾の夜市でひときわ目立つ鉄板料理。牡蠣、卵、青菜、そしてモチモチのデンプン生地。それが「蚵仔煎(オアチェン)」だ。 だがこの料理には、夜市グルメという今の姿からは想像できないほど古くて重... -
食文化の記録
台湾の小籠包についての記録
―― 街角の蒸篭から立ち上る湯気 ―― 台湾の街を歩いていると、蒸籠の匂いが混じってくる。市場の入口。朝食屋のカウンター。夜市の角。湯気は、特定の店からではなく、街そのものから立ち上がっているように見える。 小籠包は、その湯気の中心にいる。ただ... -
食文化の記録
台湾の牛肉麺についての記録
―― 歴史が作った紅焼と清燉 ―― 台湾の街に入ると、独特の匂いがする。八角の甘さ、醤油の焦げた香り、そして牛脂の重たい気配。 それは屋台の前だけに漂っているのではない。住宅街の食堂の入口にも、昼の市場の裏手にも、夜の交差点の隅にもある。 その匂... -
街角の記録
台中の生い立ちについての記録
―― 自然にできなかった街 ―― 台中を歩くたびに思う。この街には、台南のような「海が削って作った歴史」も、台北のような「山に囲まれた要塞」もない。にもかかわらず、道路は妙に広く、区画は妙に整っていて、どこか人工的な匂いがする。 台中とは、台湾... -
食文化の記録
台湾の麺線屋が成り立つ仕組みについての記録
―― なぜ蚵仔煎も一緒に売っているのか ―― 台北を歩けば、麺線屋の横には高確率で鉄板がある。そしてその上では、牡蠣が跳ね、卵が広がり、片栗粉の生地が揺れている。 麺線といえば立ち食い、片手ですする軽食。蚵仔煎(オアチェン/牡蠣オムレツ)は油と... -
片隅の独り言
台湾人は本当にマンゴーが好きなのか疑ってみる
―― 「台湾=マンゴー天国」という刷り込み ―― 台湾に来ると、どうしてもマンゴーに意識が向く。夏のSNSは巨大なマンゴーかき氷だらけで、旅行者はそれを季節の義務のように食べる。 いつしか「台湾人もきっとマンゴーが大好きなんだ」と思い込んでいた。し... -
食文化の記録
鴛鴦茶(ユンヨンチャ)についての記録 | 台湾
―― 香港発祥のオシドリ夫婦という「物語」 ―― 香港の茶餐廳で出てくる混ぜ飲料、鴛鴦茶(ユンヨンチャ)。紅茶とコーヒーを混ぜ、コンデンスミルクでまとめた甘い飲み物だ。 名前の「鴛鴦(ユンヨン)」は仲むつまじいオシドリ夫婦。東洋と西洋が寄り添う... -
片隅の独り言
台北-基隆の緊迫感を日本にあてはめて考えてみる
―― 台北に瀬戸内海は存在しない ―― 基隆に向かう列車を待つ間、地図を眺めていて気づいた。台北という都市には、日本でいうところの瀬戸内海に相当する地形がない。外力を弱め、時間を稼ぐ巨大な内海のクッション。それが、台北にはほとんど存在しない。 ... -
街角の記録
台湾・北東アジア・ゴールデンフライトサークル
―― 空の地下鉄網 ―― 台北・台北松山空港の出発ロビーで窓際に座る。 ガラスの向こうには、日本の航空会社の機体が並び、その間に中国東方航空と大韓航空の尾翼が混ざっている。 見慣れた塗装が、ほとんど同じ距離感で並んでいる。 ここから飛び立つ便の行... -
街角の記録
台北の松山空港についての記録
―― 軍民共用のもう一つの玄関―― 羽田からの便で台北へ向かうと、着陸直前に視界が急に近づく。 窓の外には、古いアパートの屋上に置かれた黒い貯水槽が見える。洗濯物が揺れ、ベランダの鉄格子が手の届きそうな距離まで迫る。道路ではスクーターが列をなし...