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食文化の記録
台湾・鼎泰豊のミシュラン獲得についての記録
―― 香港に落ちた星 ―― 2009年。料理界にとって、少し奇妙なニュースが流れた。 世界で最も権威あるミシュランガイドが、台湾の小籠包チェーン「鼎泰豊」に一つ星を与えた。 ただし、受賞したのは台北の信義本店ではない。香港のショッピングモールにある一... -
食文化の記録
台湾・魯肉飯ミシュラン事件についての記録
―― 台湾がざわついた日 ―― 2011年4月。ミシュランのグリーンガイド台湾版が出版された。 台湾の人々は、少し期待しながらページを開いた。国際的な権威が、自分たちの街や食べ物をどう書くのか。そこに興味が集まっていた。 その中に、魯肉飯の紹介があっ... -
食文化の記録
台湾・魯肉飯の歴史についての記録
―― 周王朝から始まる3000年の歴史 ―― 魯肉飯については、よくこう説明される。貧しい時代に、クズ肉を美味しく食べるために生まれた料理だ、と。 それは半分だけ正しいように見える。ただ、その説明は射程が短い。魯肉飯は、台湾の路地裏だけで完結した料... -
食文化の記録
台湾・鼎泰豊についての記録
―― 油屋をミシュラン店にした18のひだ ―― 鼎泰豊(ディンタイフォン)は、台北だけの店ではなくなっている。ロサンゼルスでも、ロンドンでも、シンガポールでも、同じ名前の看板があり、同じ蒸籠が積まれ、同じように行列ができる。 多くの人は、そこで「... -
食文化の記録
小籠包という台湾らしくない「台湾の顔」についての記録
―― Qでも、ツイでも、甘辛くもない ―― 台湾料理には、食べた瞬間に「ああ、台湾だ」と感じさせる共通のコードがある。台湾全土の夜市や食堂を支配しているその不文律を、まずは3つの要素で因数分解してみる。 ひとつめは食感である。何よりも「Q(キュウ)... -
マレーシア
マレーシアのロティ・チャナイについての記録
―― 宙を舞う朝の定番メニュー ―― マレーシアの朝は、独特の音で始まる。 パンッ、パンッ。 街角の食堂(ママック)から聞こえる、濡れたタオルを叩きつけるような音。職人が小麦粉の生地を鉄板に叩きつけ、宙に舞わせている音だ。 ロティ・チャナイ(Roti ... -
マレーシア
KL・Jalan TAR Nasi Kandar Saddamについての記録
―― SOGO前の新しいナシカンダー ―― クアラルンプールの街角に行列ができている。特にJalan TARのSOGO前あたりでは、人が止まり、列が伸びる。車の音と排気の匂いの中で、カレーの香りだけが妙に強い。 看板を見て、誰もが一度は二度見する。Nasi Kandar Sa... -
マレーシア
ペナン最古のナシカンダー、Hameediyahについての記録
―― キャンベルストリートの黄色い壁 ―― ペナン島ジョージタウン、キャンベルストリートを歩く。昼の光は強く、空気は重い。車とバイクの音が途切れず、歩道の影だけが細い。 その通りに、黄色い壁が現れる。鮮やかな黄色と緑に塗られた、コロニアル様式の... -
マレーシア
マレーシア・ナシカンダーの注文方法についての記録
―― 指さしと簡単英単語で成立する注文 ―― ナシカンダーの店は、旅行者にとって少し敷居が高い。 ガラスケースの中には茶色い料理が山のように積まれ、店員は忙しそうに皿を流し、注文はマレー語で進む。メニューも値段も書かれていないことが多い。 興味は... -
マレーシア
ペナンで生まれたママック文化についての記録
―― 海を渡ったスパイス ―― ペナンの空気には、港町の名残がある。海が近く、湿度が高く、匂いが逃げない。 ジョージタウンを歩くと、香辛料の気配がどこかに漂っている。店の奥で煮えている鍋。油の膜。焦げた玉ねぎの甘さ。それらが、歴史の話より先に体...