―― 台湾全土トップ10に輝いた、辛くて硬い哲学 ――
台湾には、数えきれないほどのチャーハン屋がある。
その中で、2013年のネット投票「全台湾チャーハンランキング」で10位に入った店が、高雄にある。
鼎泰豊のような有名店と並び、
路地裏の一軒が名を連ねた。
店内の壁には、当時の賞状や記事が飾られている。
少し色褪せているが、隠す様子はない。
ここは、高雄の人が
「うちのチャーハン」と言いたくなる場所だ。
パラパラの、その先
台湾のB級グルメは、
とろみやタレに寄りがちだ。
だが、ここのチャーハンは違う。
水分が、ほとんどない。
レンゲですくうと、
米粒がさらりと崩れる。
噛むと、
表面は油で薄くコーティングされ、
中は硬さを残している。
強火。
鍋振り。
その結果だけが、皿に残っている。
「粒粒分明」。
米粒が、ひとつずつ主張している。
甘さを切る、辛さ
この店では、
チャーハンに辛さを指定できる。
小辣、中辣、大辣。
高雄では、あまり見ない選択肢だ。
注文票の「中辣」にチェックを入れる。
やがて運ばれてくる皿には、
黄金色の米の中に、赤い唐辛子が散っている。
使われているのは、生の赤唐辛子だ。
鋭い辛味が、油の重さを断ち切る。
スプーンが、止まらなくなる。
乾いた米に、潤滑油を
このチャーハンには、
汁物が必要だ。
正解は、豬肝湯。
豚レバーのスープ。
レバーは新鮮で、
臭みがない。
澄んだスープに、
生姜とネギ。
乾いた米と、濡れた臓物。
その往復が、口の中を前に進める。
摩天楼の影で
店の近くには、
85ビルや高雄市立図書館総館がある。
ガラスと鉄の高層建築。
その足元に、
質素なチャーハン屋。
昼時になると、
近くで働く人たちが集まってくる。
イートインもできるが、
実際にはテイクアウトやデリバリーの比率が高い。
容器に詰められ、
オフィスや自宅へ運ばれていく米の山。
それもまた、この店の風景だ。
ただ、米を炒める
奇抜な具材はない。
米、卵、ネギ、唐辛子。
それらを、
炎の中で一気に仕上げる。
高雄に来てまで、チャーハン。
そう思うかもしれない。
だが、ここで食べるのは、
料理というより、鍋の技術だ。
住所: 高雄市苓雅區新光路132號
営業時間: 10:00~19:00 (土曜は15:00まで。日曜定休)
アクセス: MRT三多商圏駅から徒歩約5〜8分。85ビル(85 Sky Tower)のすぐ近く。
地図: https://maps.app.goo.gl/Cbcv5Yn1iCAGFqmB9
2013年のネット投票「全台湾チャーハンランキング」で10位に入賞した実力店。




