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台湾には蒸籠が何個あるのか数えてみる


台湾の街を歩いていると、
蒸籠はあまりにも自然にそこにあって、
ほとんど風景の一部になっている。

豆漿店の入口。
点心屋の厨房。
夜市の屋台の隅。

積み重なった円筒と、その上に立つ湯気。
それらは主張しないのに、
確実に街の体温をつくっている。

ふと、
そんなものを数えてみたくなった。

この島には、
蒸籠がいったい何個あるのだろうか。


小籠包の販売量から考えてみる

まずは、「どれだけ使われているか」から考えることにする。

台湾の人口は約2,340万人。
仮にそのうち 毎日10% が、小籠包・饅頭・蒸し餃子などの
蒸し料理を 1籠ぶん食べている とすると、

1日の総消費量は
234万籠分 になる。

次に考えるのは、
ひとつの蒸籠が1日に何回使われるか、だ。

朝・昼・晩のピークをまたぎ、
洗浄や待機時間も挟みながら、
1つの蒸籠が 1日5回転 していると仮定する。

すると、

234万籠 ÷ 5回転 = 約46.8万個

台湾全土で、
常に稼働している蒸籠の必要数は、
だいたい 47万個前後 になる。

これはかなり粗い仮定だが、
数字としては、妙に現実味がある。


小籠包を売っている店の数から考えてみる

次は、
「街に存在する店」から逆に考えてみる。

仮に、

  • 朝食屋:約15,000軒
     1店あたり15個 → 22.5万個
  • 専門店・レストラン:約5,000軒
     1店あたり40個 → 20万個
     (鼎泰豊クラスは数百個だが、あくまで平均値として)
  • 夜市・屋台・コンビニなど:約10,000軒
     1店あたり5個 → 5万個

これらを合計すると、

約47.5万個

需要サイドから導いた 46.8万個 と、
供給サイドから積み上げた 47.5万個 が、
ほとんど同じ場所に着地する。

計算というより、
感覚がぴったり重なった感じがした。


散歩の途中での結論

もちろん、
これはただの仮説にすぎない。

データも、
信頼できる統計もない。

あるのは、
豆漿店の湯気と、
通りの雑音と、
頭の中の電卓だけだ。

それでも、
台湾には 少なくとも数十万個の蒸籠がある
という感覚だけは残った。

それで十分だと思った。

外に出ると、
向かいの屋台の蒸籠が
ふたを開かれていた。

白い湯気が、
路面に少しだけ滲んでいた。

今日はここまでにしよう、と
一度、考えるのをやめた。


帰宅後にやってみた、答え合わせの話

家に戻ってシャワーを浴び、
一息ついたあとで、
ふと思い出した。

あの蒸籠の話だ。

散歩中は、
「まあ、いい加減な数字なんだろうな」と思っていた。

でも、
頭のどこかでまだ終わっていなかった。

だから、
なんとなく台湾の貿易統計を
調べてみた。


林務局の資料によると、
台湾の「竹製容器」の輸入額は、
年間およそ 約10億円(日本円換算) だという。

最初は、少ない気もした。
けれど、これはあくまで「輸入原価」であり、
ここに流通コストや小売価格は含まれていない。

さらに言えば、
この数字には蒸籠以外の竹製品も混ざっている。

仮に、
このうち 30%が蒸籠関連 だとすると、
蒸籠の輸入原価は 約3億円。

そこに流通マージンが乗るとして、
末端の市場規模は
年間およそ10億円前後 と仮定してみる。


業務用の蒸籠は消耗品だ。
高温の蒸気に晒され続け、
半年ほどで交換されることも珍しくない。

そこで、

・単価:1,000円
・年間市場:10億円
とすると、

年間流通量は
約100万個

これを
「半年で買い替え」として割り戻すと、

台湾で常時使われている蒸籠の数は
約50万個 という計算になる。


ここで、
思考が止まる。

散歩中に、
頭の中だけで転がしたあの数字。

約47万個。

それと、
統計データから出てきたこの数字。

約50万個。

大雑把な仮定を積み重ねただけなのに、
驚くほど、
同じ場所に着地していた。

誤差というより、
「ぴったり重なった感じ」のほうが近い。

合理的な証明ではない。
でも、
台湾の朝の風景と、
国家統計の数字が、
同じ高さで頷いたような感覚だ。


台北101、100本分の高さ

50万個という数字。
多いのか少ないのか、
正直よくわからない。

だから最後に、
それを“積んで”みることにする。

蒸籠1段の高さを
約10cmとすると、

50万個 × 0.1m = 50,000m(50km)

成層圏に届く高さだ。

台湾の象徴、
台北101(508m)で割ると、

50,000m ÷ 508m ≒ 約98本分

もし台湾全土の蒸籠を集めて積み上げたら、
台北101が 100本近く 並ぶことになる。

台北の盆地に、
竹でできた細長い塔が
100本立っている光景。

そのすべてから、
白い湯気が立ち上っている。

台湾という島は、
文字通り
「蒸気」の上に成り立っているのかもしれない。

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