―― デパートの影で働く、屋台出身の湯包店 ――
MRT三多商MRT三多商圏駅を出て、新光三越のガラス壁を横目に歩く。
その裏手に入ると、空気の密度がすっと変わる。
文横三路。
朝の6時、デパートはまだ深く眠っている。
その静かな裏側で、ここだけが勢いよく蒸気を上げていた。
高雄の朝には、こうした境界線がある。
きらびやかな表通りと、生活の匂いが濃く残る路地。
小盛豐湯包は、その境界に立つ店だ。
表通りの光と、裏通りの湯気
この店が面白いのは、立地そのものに物語がある点だ。
表通りには SOGO、新光三越。
百貨店の開店前、街が準備運動をしている時間帯。
その裏で、すでに小盛豐湯包は戦闘モードに入っている。
蒸籠が積み上がり、店頭では職人が黙々と包み続ける。
都市は表と裏でリズムが違う。
そのことを実感させてくれる場所だ。
屋台が積み重ねた「朝の店」
小盛豐は、もともと 餐車(屋台) から始まった。
路上で鍋と蒸籠を積み、
朝の出勤前の労働者たちに湯包を売るところからのスタート。
味と値段でファンを掴み、
いつしか固定店舗を構えるほどの人気店になった。
店内は明るく、テーブルも清潔。
屋台時代の荒々しさは薄れたけれど、
皮を包む手の速さや蒸気の量を見ると、
路上で鍛えた店であることがわかる。
大ぶりの皮に閉じこめた、南部の甘さ
小盛豐の湯包を語るとき、まず触れるべきはサイズだ。
台北の小籠包に慣れていると、
最初に持ち上げた瞬間に
「……大きい」と思うはず。
皮は薄めだが、中のスープは驚くほど多い。
レビューの「爆汁」という表現は誇張ではない。
肉餡には南部特有のほんのりした甘さ。
この甘みと熱々のスープがよく合う。
ここはディナーの店ではない。
朝と昼の生活を支えるための湯包。
だからこそ、炒麺や炒米粉といった
腹を満たす炭水化物がしっかり揃っている。
湯気の中を、生活が通り過ぎていく
バイクで横づけしてテイクアウトする人。
出勤前に一籠だけ食べていく人。
家族でテーブルを囲む人。
その全ての中心に、蒸籠がある。
朝の高雄は、暑くなる前のほんの短い涼しさがある。
その空気の中で湯気を浴びながら食べる湯包は、
都市のエネルギーの始まりのように感じられる。
冒険をしない日の「ちょうどいい場所」
小盛豐湯包の魅力は、
単純に美味しいだけではない。
・デパートの裏で湯気を上げるコントラスト
・屋台から積み上げた歴史
・南部らしい甘さと大ぶりの湯包
・朝の街に馴染んだエネルギー源
その全部が合わさって、
高雄の都市生活の一部として存在している。
観光向けの店ではないけれど、
「その街の生活を見たい」と思う日に、ふと行きたくなる場所だ。
住所: 806高雄市前鎮區文横三路166號
営業時間: 06:00 – 14:00 (無休)
アクセス: MRT三多商圏駅から徒歩約5分。三多商圏の賑やかなエリアから少し入った場所。
地図: https://maps.app.goo.gl/cdBJ6Fu3BJ36zZQi6
昼過ぎには閉まるので注意。レンゲの上で慎重に食べないと大惨事になる。
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