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台中・西区 饕之郷李姐的店についての記録

―― 台中の日常を支えるミシュラン店 ――

台中・西区。
向上路の大通りを歩いていると、路地の奥から蒸気が立ち上っているのが見える。
昼でも夜でも、人の流れが一点に吸い寄せられる場所がある。
そこが饕之郷李姐的店だ。


大衆食堂にある「日常の鼎泰豊」という役割

店のメニューを見ると、小籠包、排骨チャーハン、牛肉麺、酸辣湯。
構成はどこか鼎泰豊を思わせる。
ただし価格は控えめで、味も肩の力が抜けている。

台中の人にとっては「普段の食事」。
日本でいうと、格式ばった和食ではなく、町の中華料理店に寄る感覚に近い。
旅行者にとっては、台中の生活圏に少し触れるような場所になる。

この店が支持される理由は、特別な演出がない点にあると思う。
手頃で、味に厚みがあって、量も十分。
そのバランスが、日常の食卓としての役割を作っている。


屋台から店舗へ。膨張するエネルギーの記録

饕之郷李姐的店は、20年以上前、路地裏の屋台から始まった。
近所の人がふらりと寄れる、手作りの店だったという。

人気が出るにつれ、隣の空き店舗を吸収し、
いまでは三軒分の幅を持つ大きな構えになった。
元が屋台だったからか、拡張してもどこか「伸びしろ」が残っている。

店頭には蒸籠が積み上がり、蒸気が途切れない。
厨房では、粉をこね、皮を伸ばし、餡を包み、蒸す動作が流れ続けている。
ひたすら前に進み続けてきた時間が、そのまま空気に溶け込んでいる。


小籠包の「柔」と、葱油餅の「剛」

小籠包は、持ち上げたときに重さがある。
皮は薄めだが、破れずにスープを抱えている。
肉餡は甘みがあり、南部の小籠包らしい力強さがある。

葱油餅は、表面に軽く層が立ち、噛むと香りが広がる。
一枚で完結した料理だが、小籠包と合わせて食べると調子が良い。
柔らかい点心と、香ばしい餅の対比で食卓にリズムが生まれる。

周りを見渡すと、家族連れが葱油餅を追加注文する姿が多い。
小籠包だけの店ではなく、点心を中心とした「食堂」であることがよく分かる。


行列があっても回転が速い理由

店の前には常に列ができる。
ただ、並んでいる客は意外と焦っていない。
理由は、回転の速さにある。

注文票に書き込み、先に会計を済ませる。
席に案内されると、料理が次々と運ばれてくる。
厨房の動きは一定で、客席までの流れに無駄がない。

料理を待つ時間が短い。
混雑していても、店のリズムに身を任せているうちに席に着ける。
この均一なテンポが、店の快適さにつながっている。


台中の生活に溶け込む場所

客層は家族連れが多く、平日の夜も賑やかだ。
旅行先の有名店というより、土地の日常に根ざした食堂。
新しさではなく、安心の方に振れている。

台中が観光で訪れる人に優しいのは、こうした「生活の店」が多いからだと思う。
饕之郷李姐的店は、その代表例のような存在だ。

料理に派手さはない。
ただ、蒸気と匂いと人の動きが交差するこの空気は、旅の記憶に残る。


饕之郷李姐的店

住所: 403台中市西區向上路一段353號

営業時間: 11:00 – 21:00 (無休)

アクセス: 台中駅からタクシーで約10〜15分。草悟道や審計新村からも徒歩圏内。

地図https://maps.app.goo.gl/89t9pyZ187ne9mwX6

「庶民の鼎泰豊」と呼ばれる超人気店。ミシュラン・ビブグルマン選出。小籠包だけでなく「葱油餅」や「牛肉捲餅」も必食。小菜も美味しい。


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