MENU

台北・三重 三和夜市に関する記録

三重の街に入ると、台北市内とは空気の密度が少し変わる。
台北橋を越えるだけで街の表情が変わり、その落差が夜市の入り口に漂っている。
ここは観光夜市ではなく、生活の延長としての夜市だ。

台北橋の向こう側にある街

台北橋は、朝夕の「機車瀑布」と呼ばれるバイクの流れで知られている。
その坂を降りてすぐの通りに三和夜市が伸びている。
橋を一本渡るだけだが、物価も雰囲気も台北より一段落ち着く。
地元の生活圏に入ったことが、すぐに分かる。

観光客は少ない。
屋台の前で迷っていると店主が声をかけてくる。
台北中心部の洗練された屋台とは少し違い、距離が短い。

スクーターが抜けていく夜市

三和夜市の通りは狭いが、車道としての機能を残したまま屋台が立っている。
そのため、買い物客の肩をかすめるようにスクーターが走る。
歩く人の列と、バイクの流れが交錯している。
危なっかしいが、これが三重の夜の標準的な光景だ。

通りの隙間には常に排気ガスが残り、揚げ油の匂いと混ざっている。
音と匂いの濃度が高く、そのまま夜市の空気を形づくっている。

生活と食が同じ通りに並ぶ

三和夜市は、食べ物だけの通りではない。
靴屋、衣料品、スマホケース、ネイル、生活雑貨。
これらが飲食店と同じ密度で並び、屋根の下に生活がそのまま展開されている。

夜市を歩く目的は食事だけではない。
買い物を済ませ、晩ごはんを買い、飲み物を持って帰る。
生活をひと通り片づけるための空間として機能している。

パパイヤミルクとネギ餅の記憶

入り口付近に「市場口木瓜牛奶」がある。
創業40年以上の屋台で、パパイヤミルクを求める列が絶えない。
濃厚で甘く、少し冷たさが遅れてくる。
夜市の入り口で飲むと、歩き始める前のリズムが整う。

葱油餅の屋台も多く、焼き台の音が常に鳴っている。
揚げ焼きの香りが空気に混じり、通りの重さを増す。
豚足、ワンタン、牡蠣オムレツなど、台湾の基本的な小吃は一通り揃う。

どれも観光地のような過度な演出はなく、淡々と調理が進む。

夜市の形成と背景

三重はもともと台北への通勤圏で、1960年代以降に人口が急増した。
働きに来た人々が住み、住宅と小さな商店が混在する街になった。
三和夜市はその生活動線の上に生まれた。

昼は市場、夜は夜市という二面性も特徴だ。
店は昼間から開いているわけではなく、夕方になると通りが自然に屋台へ変化していく。
計画された観光夜市とは違い、土地の需要に合わせて広がった。

夜の活気とその残り方

19時頃が最も混雑する。
家族連れ、学生、仕事帰りの人が重なり、歩幅が小さくなる。
人の流れに合わせて進んでいくと、ときどき煙が流れてくる。

夜市を抜けると、通りはすぐに静かになる。
店の明かりが後方に伸び、手前の路地は暗い。
夜市の喧噪は境界線の手前に留まり、外れた瞬間に途切れる。

湿気の重さだけが、そのまま残っていた。


三和夜市

住所: 241新北市三重區中央北路

営業時間: 17:00頃 – 24:00頃 (店舗により異なる)

アクセス: MRT台北橋駅から徒歩すぐ。駅を出て信号を渡れば入り口。

地図https://maps.app.goo.gl/2n2RffEiwbVKZQjw8

観光客が少ないローカル夜市。通路が狭くバイクが通るので注意。入り口の「木瓜牛奶(パパイヤミルク)」は必飲。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次