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豆花の新しいトッピングを考えてみる | 台湾

夜の豆花屋に入った。
湯気がゆっくり流れていて、肌に少しだけ触れる。
いつもどおり温かい豆花を選び、紅豆とタピオカと芋園を添えた。

椅子に腰を下ろした時、そろそろ別の選択肢があっても良いのではと頭に浮かんだ。
毎回似た景色になるのは悪くないが、少しだけ変化を求めたくなる時がある。


スイーツを形づくる要素を思い返す

甘さ、食感、脂肪。
昔からスイーツはだいたいこの三つで決まると聞いたことがある。

最近は塩キャラメルや塩大福のような流行もあって、塩気が第四の要素として台頭してきたように思う。
甘さを引き立てる脇役というより、甘さと同じ重さでそこにいる存在になってきた。

それなら豆花にも塩気を取り入れる余地があるのではないか。


豆花の構造を分解してみる

豆花屋のトッピングを並べてみると、甘さは十分に満たされている。
食感はQQが主流で、タピオカ、芋園、粉圓などが占める。
脂肪は豆そのものから自然に補われている。
不足しているとすれば塩気くらいだ。

甘さと食感は飽和しているのに、塩気だけが空いている。

豆花自体が淡い味で成立する食べ物なので、強い塩味は似合わないが、わずかな塩気が加わるだけで輪郭が引き締まる気もする。
次の変化を探すとしたら、そこに何か入りそうだと思った。


モッツァレラを思いつく

塩気と脂肪を一度に加えられ、しかも柔らかくてわずかに弾力がある。
その条件で探すと、モッツァレラチーズが頭に浮かんだ。

イタリアではアイスにモッツァレラを添えて、上からバルサミコを垂らすデザートがある。
冷たい甘さとミルクの脂肪に、少しの酸味と塩気が加わる組み合わせは不思議とまとまる。

それに、カプレーゼで豆腐がモッツァレラの代わりに語られることがある。
水分量も質感も似ていて喧嘩しない。
ならば豆花の上にのせても大きくは外れないのではないか。

豆花の新しいトッピング候補としては有力かもしれない。


妙な自信と、急な疑問

ここまで考えると、かなりの確率で受け入れられるのではと、一瞬だけ楽観的な気持ちが浮かんだ。
観光地向けの新作としても、夜市の屋台が面白がって出しても不思議ではない。
そんな自分に少し満足していた。

ただ、もう一歩踏み込むと別の疑問が出てくる。
もしモッツァレラがこれだけ合うのなら、豆花そのものを置き換えてしまえるのでは。
豆腐の上位互換のように扱われてしまったら、豆花の立場はどうなるのだろう。

考えたところで、注文していた温かい豆花の袋が手渡された。
手のひらに伝わる柔らかな重さだけが現実だった。
袋を持ったまま歩き出し、さっきの思いつきをどこかに置いて帰ることにした。


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