―― 六合夜市の入口で、2つの料理だけを作り続ける店 ――
六合夜市の照明が灯りはじめる時間、通りの角で鉄鍋の音が聞こえる。
店名の通り、光頭の店主がひたすら鍋を振り続けている。
メニューは2つだけ。迷いも演出もない、静かな屋台だ。
メニューは「炒飯」と「土魠魚焿」だけ
壁に貼られたメニューには、わずか二行。
**肉絲蛋炒飯(豚肉と卵のチャーハン)**と、
土魠魚焿(サワラのとろみスープ)。
それだけだ。
あれこれ作らず、この2つに全力を注ぐという潔さ。
夜市に似合わないほどのストイックさがある。
強火で仕上げる「鍋気のある炒飯」
具は卵、豚肉、ネギ。
調味料は醤油と塩。
それだけで米が立つ。
強火に置かれた鉄鍋の中で、ご飯が跳ねる。
仕上がりは、油の膜が薄くかかった軽い炒飯。
口に入れると、鍋気(wok hei)と呼ばれる焦げの香りがふわっと抜ける。
派手な具材に頼らない。
原点の炒飯だけで勝負している。
甘めの「土魠魚焿」との組み合わせ
炒飯の隣には、必ずこのスープが置かれる。
高雄ではポピュラーな、サワラの揚げ身が入ったとろみスープだ。
味は甘め。
とろみの奥に魚の旨味があって、食べ進めるほどクセになる。
炒飯の塩気と、この甘いスープ。
交互に食べることで、箸が止まらなくなる。
揚げ身をスープに浸して柔らかくしてから食べるのが、地元のやり方らしい。
六合夜市の「路地側」に広がる席
この店は六合夜市に面しているが、飲食スペースは路地側に広がっている。
通りから一歩入ると、屋台用のテーブルと椅子が並び、簡易照明が頭上を照らす。
観光夜市の手前で、急に生活圏の空気が漂いはじめる。
地元の常連が黙って座り、炒飯を早足でかき込んで出ていく。
夜市の喧騒から半歩だけ離れた空間に、静かなリズムが流れている。
夜市に迷ったらここでいい
観光向けの派手な店が増えた六合夜市の中で、
この店は昔から変わらない。
「とりあえず何か食べたい」
「油っこいものは避けたい」
そんなときに、最初の一皿としてちょうどいい。
派手さはないが、鍋の音が飾り気のない夜を支えている。
住所: 800高雄市新興區南台路80號
営業時間: 18:30 – 24:00 (不定休) ※夜営業のみ
アクセス: MRT美麗島駅 11番出口から徒歩約3分。六合夜市のすぐ近く。
地図: https://maps.app.goo.gl/v5EzNcbXX7cK4TKX9
メニューは「炒飯」と「土魠魚焿」のほぼ2択。シンプルだが技術が光るパラパラ炒飯は必食。店主のスキンヘッドが目印。
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