-
食文化の記録
台湾・ミシュランの星を持たない鼎泰豊本店についての記録
―― 評価のねじれと理由 ―― 鼎泰豊の香港店は、かつてミシュラン一つ星を獲得し、世界を驚かせた。点心という軽い食べ物が、星の制度に回収された瞬間でもあった。 一方で、台北の信義本店は星付きではない。評価はビブグルマンだ。価格以上の満足感が得ら... -
マレーシア
マレーシアの「DIN by Din Tai Fung」についての記録
―― 豚なし小籠包という答え ―― KL Sentralに直結したNu Sentralを歩く。乗り換えの途中のような足取りで、モールの通路を流れていく。 見慣れたロゴがある。鼎泰豊だ。白い看板と、整った書体が目に入る。 ただ、よく見ると少し違う。店名はDIN by Din Tai... -
マレーシア
マレーシア・ナシカンダーの主菜についての記録
―― ショーケース前の逡巡 ―― ナシカンダー(Nasi Kandar)の注文カウンターに立つ。ガラスケースの中には料理が積まれている。茶色、赤、黒、黄金色。色だけで皿の重さが想像できる。 選ぶのはラウク(Lauk)である。おかずを指差すだけの行為に見える。た... -
マレーシア
マレーシアのサンバルについての記録
―― 食卓の赤い辛味 ―― サンバル(Sambal)を、マレーシアのチリソースと呼ぶ説明を見かける。その説明は便利だが、誤解も生む。 ケチャップのような添え物として置かれると、役割が縮む。しかし食堂、特にママック(Mamak)のテーブルでは、サンバルは主役... -
マレーシア
マレーシアのナシレマについての記録
―― 定番のココナッツライス ―― 早朝のマレーシアは、まだ街が起ききっていない。空は明るくなりきらず、車の音も少ない。路上のテーブルだけが先に稼働している。 その上に、緑色の小さなピラミッドが山積みされている。正確には、ピラミッドというより正... -
マレーシア
マレーシアのロティ・チャナイ派生についての記録
―― 無限のバリエーション ―― ロティ・チャナイ(Roti Canai)は、マレーシアの朝に最もよく出てくるメニューだ。 基本のロティ・コソン(Roti Kosong)は、あくまで始まりに過ぎない。 ママック(Mamak)の鉄板の前では、客のわがままがそのままメニューに... -
マレーシア
マレーシアのアヤムゴレンについての記録
―― 黄金色の共通言語と、スパイスの焦げ跡 ―― アヤムゴレン(Ayam Goreng)はマレーシア風フライドチキンと訳される。 一般にフライドチキンと呼ばれるものは、小麦粉の衣(バッター)を食べる料理として理解されることが多い。厚い衣は肉汁を閉じ込める鎧... -
マレーシア
KL・Jalan TAR Nasi Kandar Kudu についての記録
―― 継ぎ足される「漆黒」 ―― Jalan Tuanku Abdul Rahman。KLの人は短く、Jalan TARと呼ぶ。 新しいビルが立ち、古いショップハウスが残る。歩道の端には露店が滲み出し、昼でも空気が重い。 この通りには、都市の古層がそのまま露出している。澱のような熱... -
食文化の記録
台湾・宜蘭の三星葱についての記録
―― 雨の土地が作る白い甘さ ―― 宜蘭の市場を歩いていると、葱がやけに目に入る。肉や魚よりも先に、緑の束が視界を占領する。 通常、葱は薬味だ。料理の輪郭を整える脇役で、主役ではない。 だが宜蘭では、その常識が少し崩れる。葱が主役のパンがあり、葱... -
食文化の記録
台湾・鼎泰豊という製造業についての記録
――小籠包とチャーハンに見る、台湾製造業―― 鼎泰豊の入口は、街に溶けている。派手な看板があるわけではない。しかし人の流れだけが、そこを目的地として指し示している。 店内に入ると、空気が少し整っている。席に案内される前に、ガラス張りの厨房が目...