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片隅の独り言
僕らが台湾で食べる理由
―― 100本目の記事を書くにあたって考えたこと ―― 台湾で食事をするとき、日本にいるときとは違う場所にいるはずなのに、なぜか“異国”という言葉がしっくりこない瞬間がある。夜市の喧噪でも、朝食店の温い豆漿でも、店の奥から漂ってくる油の匂いさえ、ど... -
高雄
高雄・塩埕区 田記豆漿(新樂店)についての記録 | 台湾朝食
―― 高雄の朝と夜に、そっと灯る豆乳の店 ―― 塩埕区の外れ、新樂街の一角。まだ空気が柔らかい時間帯、店先には豆乳の湯気がゆるやかに漂っている。田記豆漿は、30年以上この街の朝を支えてきた店だ。 けれどここは、朝だけの店ではない。夕方になると、ま... -
高雄
高雄・塩埕区 銘邦港園牛肉麺についての記録
―― 塩埕の路地で出会うもう一つの「港園」 ―― 高雄・塩埕区を歩いていると、港園牛肉麺の列が角を曲がるほど伸びていた。そのすぐ近くに、似た名前の店がもう一軒ある。銘邦港園牛肉麺。看板に刻まれた「港園」の文字が、静かに本家とのつながりを示してい... -
高雄
高雄・塩埕区 鴨肉珍についての記録
―― 塩埕区の朝に並ぶ列 ―― 高雄の旧市街、塩埕区を歩く。古い商店の並ぶ通りに、ひときわ人が集まっている店がある。鴨肉珍。創業65年以上。地元の人が黙って列に並び、順番が来ると短い言葉で注文していく。 観光客も見かけるが、ここはあくまで街の食堂... -
高雄
高雄・塩埕区 港園牛肉麵についての記録
―― 塩埕区に残る、汁なしの名店 ―― 高雄の旧市街・塩埕区。古い商店が並ぶ一角に、港園牛肉麵はある。1953年創業という、とても長い時間を積み重ねてきた店だ。昼を少し過ぎても列が絶えない。外から見ると、その熱気だけが店の歴史を示しているようだった... -
高雄
高雄・苓雅区 大牛牛肉面 四維総店についての記録
四維三路の昼下がりにある牛肉麺 高雄の苓雅区。四維三路を歩いていると、赤い看板がひっそりと視界に入る。大牛牛肉麵。創業30年以上の店だと聞く。派手でもなく、客引きもいない。昼どきになると静かに客が増えていき、店内の湯気だけがその存在を知らせ... -
台北
台北・大安区 頂好紫琳蒸餃館についての記録
―― 東区の地下に残る別世界 ―― 忠孝復興駅で地上に出ると、東区らしい明るい光が広がる。SOGOがそびえ、若者向けの店が並び、音楽が通りに漏れる。その喧騒を横目にして古いビルの階段を降りると、空気が変わった。 ここが「頂好名店城」だった。昭和のデ... -
喧騒の記録
高雄・新興区 六合夜市についての記録
―― 少し静かになった観光夜市を歩く ―― 美麗島駅を出て通りを渡ると、夜の準備を整えた一本道が見えてくる。日中は交通量の多い道路だが、夕方になると鉄柵が下り、歩行者天国の顔に変わる。これが六合夜市だった。かつて高雄の“観光夜市の王”と呼ばれた場... -
片隅の独り言
なぜ台湾旅行者は台中を素通りするのか考えてみる
—— 気候がいちばん良い街なのに、足が向かない理由について —— 台湾をまわる旅行者の足取りには、ある程度の王道ルートがある。台北・九份あたりを歩き、時間に余裕があれば台南や高雄へ足を伸ばす。その中間にある台中は、地図の上では魅力的な位置なのに... -
街角の記録
台湾新幹線についての記録
―― 日本の技術と言われているけど、背景は少し複雑 ―― 台南へ向かう途中、高鐵のホームで列車を待っていた。白とオレンジの車両が風を切って通過していくのを眺めると、この高速鉄道がどんな経緯で作られたのかを思い返したくなる。見た目は日本の新幹線だ...