―― 肉よりも、餡と粉を信じるという選択 ――
高雄の北側、商業施設と住宅が混ざるエリアに、使い勝手のいい面食館がある。
就愛餡面食館。
店名の通り、ここで軸になっているのは「餡」だ。
派手な装飾はない。
けれど、メニューを眺めていると、この店がどこに力を注いでいるかがよくわかる。
糸瓜湯包という正解
看板メニューは糸瓜湯包。
いわゆる小籠包だが、中身は少し違う。
澎湖産のヘチマとエビを使った餡は、驚くほど軽い。
豚肉の脂を前に出さず、ヘチマの水分と自然な甘みで全体をまとめている。
スープは透明感があり、重さが残らない。
薄めの皮だが、弾力があり、破れずに受け止めてくれる。
肉で押してこない。
その分、何個でも食べられる。
危険な牛肉餡餅
もしテーブルに余裕があれば、牛肉餡餅も頼んでほしい。
これは注意が必要だ。
一口かじると、ほぼ確実に肉汁が飛ぶ。
小籠包よりも、はるかに暴力的。
皮の中に溜め込まれたスープと牛肉の脂が、一気に解放される。
レンゲ必須。
油断すると服を汚す。
捲餅は「間食」ではなく主役
牛肉捲餅は、葱油餅に甘辛い牛肉とネギを巻いたもの。
外はパリッと、中はしっとり。
湯包の合間に食べると、味の方向が切り替わる。
蒸す → 焼く、のリズムが心地いい。
粉もの同士でも、ちゃんと役割が分かれている。
甘い粉で締める
この店は、デザートまで粉で完結する。
煉乳甜烙餅や紅豆鍋餅。
甘さは控えめで、食後でも重くならない。
台湾の面食館は、
食事とデザートを分けない。
同じ生地で、最後までいく。
現代的な食堂としての完成度
場所は、義享天地やMRT凹子底駅から近い。
観光の合間に立ち寄りやすい立地だ。
店内は清潔で広く、セルフの調味料や小菜も整っている。
家族連れや一人客、どちらも入りやすい。
昔ながらの屋台ではない。
でも、台湾の「粉文化」はしっかり守られている。
湯包、餡餅、捲餅、甘い粉もの。
それぞれが役割を持ち、
一食として成立している。
住所: 813高雄市左營區大順一路542號
営業時間: 11:00 – 21:00 (無休)
アクセス: MRT凹子底駅 2番出口から徒歩約5分。義享天地のすぐ近く。
地図: https://maps.app.goo.gl/9Tw2BNwrtHoXCnk46
「餡(中身)」にこだわった麺食店。あっさりした「糸瓜湯包」と、肉汁あふれる「牛肉餡餅」が二大看板。
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