── 高雄の朝は、なぜこの肉まんに並ぶのか ――
高雄で最も有名な朝ごはん屋、と言ってしまって差し支えない。
湯包(タンバオ)と焼餅(シャオビン)。
メニューは極めて素朴で、味も決して奇をてらっていない。
それなのに、毎朝ここには狂気的な行列ができる。
朝食屋の肉まんに、なぜここまで人が並ぶのか。
この事実こそが、興隆居という店の核心だ。
「湯包」という名の巨大肉まん
まず看板商品の湯包。
見た目は完全に肉まんだ。サイズも肉まんだ。
だが中身は、小籠包の論理で作られている。
キャベツの甘み、豚肉の脂、そして肉汁。
皮の中にはしっかりスープが閉じ込められているため、
何も考えずにかぶりつくと、ほぼ確実に火傷する。
正解は、
皮を少し破り、スープを先にすすること。
言ってしまえば、
「小籠包を朝食用に巨大化したもの」だ。
行列の正体と「二股システム」
初見殺しなのが、この店の行列だ。
一見すると一本の長い列だが、
実は途中で二股に分かれている。
・左:湯包専用レーン
・右:焼餅・その他パン類レーン
これを知らずに並ぶと、
欲しいものとは違う列で無駄に時間を使うことになる。
行列が長いわりに回転が早いのは、
このレーン分離が機能しているからだ。
興隆居の行列は、無秩序に見えて、
実はかなり合理的に設計されている。
焼餅というもう一つの主役
湯包の影に隠れがちだが、
焼餅もここでは主役級だ。
表面はサクッと、中は香ばしい。
ここに、好みで中身を挟んでいく。
・油條(揚げパン)
・卵焼き
・酸菜(高菜)
湯包が「肉汁の塊」なら、
焼餅は「食感の組み立て」。
高雄の朝は、
この二択を迫られるところから始まる。
隣にいる強敵「果貿來來豆漿」
さらに面白いのは、立地だ。
近隣には、
同じく有名な朝食店「果貿來來豆漿」がある。
興隆居の行列を見て諦めた人が流れ込む先……
と思いきや、こちらも普通に行列。
果貿來來の肉まんは、
興隆居より野菜寄りで軽い。
この一角だけ、
朝の人口密度が明らかにおかしい。
高雄でも屈指の朝食激戦区だ。
なぜ並ぶのか、という問い
冷静に考えれば、
湯包は他でも食べられる。
焼餅も、似たものはある。
しかも並ばずに。
それでも人は並ぶ。
それは、味だけの問題ではない。
・朝の時間帯
・行列という風景
・蒸気と騒音
・無言で包み続ける厨房
これらすべてを含めて、
興隆居の朝食になっている。
この店が毎朝人を集め続ける理由だ。
住所: 801高雄市前金區六合二路186號
営業時間: 04:30 – 11:30 (月・火曜定休)
アクセス: MRT市議会(旧・市議会)駅 1番出口から徒歩すぐ。
地図: https://maps.app.goo.gl/ibVwJ6mNqheJAxwK9
高雄一の行列ができる朝食店。名物は肉汁たっぷりの「湯包(肉まん)」。湯包を買う列とそれ以外の列が分かれているので注意。
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