―― 蒸籠と湯気が主役の、昼の定食風景 ーー
高雄の街角には、
派手な看板も説明もないまま、人を集め続ける店がある。
許記蒸餃は、その典型だ。
昼どきになると、近所の人が吸い込まれるように店に入り、
蒸籠の蓋が次々と開いていく。
蒸籠で出てくる、モチモチの蒸し餃子
看板は、蒸籠に入った蒸し餃子。
一口サイズで、皮はやや厚め。
噛むとQQ感(もちもち感)がしっかりある。
餡は豚肉とキャベツが中心で、
ニンニクは入っていない。
そのぶん、肉の甘みと野菜の水分が前に出る。
味付けは控えめで、
何もつけずに食べても成立するが、
卓上調味料を使うと表情が変わる。
タレを作る時間も、食事の一部
卓上には、
醤油、酢、ごま油、刻みニンニク。
決まった正解はない。
少しずつ混ぜて、自分のバランスを探す。
あっさりした蒸餃だからこそ、
タレで輪郭を足す余地がある。
この余白が、
日常的に通われる理由なのだと思う。
隠れた主役「麺糰排骨」
蒸餃だけで終わらせるのは惜しい。
この店のもう一つの柱が、麺糰排骨だ。
「麺糰」は、
うどんのようでもあり、すいとんのようでもある、
手打ちの太麺・塊麺。
排骨は揚げではなく、
煮込んだスープ仕立て。
白濁したスープは見た目以上に優しく、
排骨の旨味がじわっと広がる。
コシの強い麺糰を噛みしめ、
蒸餃に戻る。
この食感の往復が楽しい。
高雄の昼は、こういう店でできている
店先では、
餃子を包み、麺を打ち続ける手元が見える。
許記蒸餃は、
観光のための店ではない。
だが、
高雄の昼のリアルを知るには、
これ以上ない場所だ。
蒸籠、湯気、モチモチの皮。
それだけで、ちゃんと満たされる。
住所: 807高雄市三民區林森一路306號
営業時間: 11:30 – 19:00 (日曜定休)
アクセス: 高雄駅(前站)から徒歩約5〜8分。建国路の近く。
地図: https://maps.app.goo.gl/nZ4LMEZmgA4Xts2p8
高雄駅近くの蒸し餃子の名店。モチモチの蒸し餃子だけでなく、手打ち麺の「麺糰排骨」も隠れた人気メニュー。
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