―― 台北で出会う、台南の国民魚 ――
台北の雙城街夜市を歩いていると、
夜市特有の熱気から一歩引いた場所に、
不思議と落ち着いた空気の店がある。
永恩台南虱目魚店。
ここは「虱目魚(サバヒー)」という、台湾南部の魚を主役にした専門店だ。
「サバヒー(虱目魚)」という魚
虱目魚は、台南を中心とした台湾南部で
国民魚とも言われる存在だ。
脂の乗った白身で、
ほのかにミルクのような甘みがあることから
英語では Milkfish と呼ばれる。
問題は骨の多さだが、
専門店では無刺(骨なし)処理が施されている。
ここ永恩も例外ではなく、
骨を意識することなく食べ進められる。
台北にいながら、
台南の日常に触れる入口として、
サバヒーはとてもわかりやすい存在だ。
看板メニュー「魚肚(お腹)」という贅沢
サバヒーの中で、
最も評価が高い部位が魚肚(お腹)。
脂が最も乗り、
この魚の魅力が凝縮されている。
永恩では、調理法を選べる。
煎(焼き)魚肚
皮はパリッと、身は驚くほどジューシー。
余分な味付けはなく、
レモンを軽く絞るだけで完成する。
魚肚粥
魚の出汁が米に溶け込み、
塩気は控えめ。
胃が疲れているときほど、
この粥の価値がわかる。
魚肚湯(スープ)
生姜の効いた透明なスープ。
味は静かだが、
身体の奥にじわりと残る。
どれも派手さはないが、
「魚を食べている」という実感が確かにある。
変化球:牡蠣が乗る魯肉飯
海鮮専門店らしい一品が、
蚵仔魯肉飯(牡蠣乗せルーローハン)だ。
豚の脂の甘みの上に、
ぷりっとした牡蠣が重なる。
山の脂と、海のミルク。
この組み合わせは、
台北の一般的な魯肉飯ではまず見かけない。
主役はあくまで魚だが、
こうした一皿があることで、
店の立ち位置がよりはっきりする。
雙城街夜市の「中の食堂」
場所は雙城街夜市の一角。
ただし屋台ではなく、
冷房の効いたしっかりした店舗だ。
観光客向けの派手さはなく、
近所の人が一人で入ってくる。
注文も、食事も、静かだ。
夜市の中にありながら、
ここだけは食堂の時間が流れている。
永恩台南虱目魚店は、
台北にいながら台南の食文化に触れられる場所だ。
住所: 104台北市中山區雙城街18巷20號
営業時間: 10:00 – 15:00 / 15:50 – 21:00 (無休)
アクセス: MRT中山國小駅 1番出口から徒歩約5分。雙城街夜市の中。
地図: https://maps.app.goo.gl/SGGuPGaLt5MW7z7FA
台北で美味しいサバヒーが食べられる店。「魚肚煎(ハラミ焼き)」は脂が乗っていて必食。「蚵仔魯肉飯(カキ乗せルーロー飯)」も人気。
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