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旅行者が台鉄に乗る理由を考えてみる

正直に言うと、
旅行者が台鉄に乗る理由は、あまりない。

速さなら高鉄がある。
分かりやすさならMRTがある。
本数も多く、案内も親切で、
時間に余裕がない旅行では十分すぎる。

台北から台中へ行くなら高鉄。
市内を動くならMRT。

台鉄は、
最初から選択肢の外に置かれやすい。

不便なのは、偶然ではない

台鉄が少し扱いにくいのは、
たまたまではない。

列車の種別が多く、
違いが直感的でない。
本数は時間帯によってばらつき、
遅れがあっても理由は簡潔に説明されない。

車内設備も、
路線や編成で差がある。

これは欠点というより、
長距離移動と生活交通を
同時に背負っているシステムの性質だ。

旅行者向けに
最適化されていない。

それだけの話でもある。

それでも、せっかく台湾に来たのだから

ただ、
せっかく台湾に来たのだから、
台鉄に乗る理由を
一つくらい考えてみてもいい気はする。

効率が悪いから切り捨てる、
という判断も正しい。

だが、
効率の外側に残っているものを
一度だけ拾ってみる、
という選択肢もある。

思いついたのが、鉄路弁当だった

台鉄に乗る理由として、
思いついたのは鐵路便當(鉄路弁当)だった。

景色でも、
速度でも、
快適さでもない。

弁当だ。

少し弱い理由に見えるが、
意外と筋は通っている。

鉄路弁当は、台鉄の中でしか落ち着かない

鉄路弁当は、
どこで食べても同じ、という料理ではない。

店で食べると、少し違う。
高鉄の中で食べると、落ち着かない。
家に持ち帰ると、間が抜ける。

揺れがあり、
待ちがあり、
到着時間がはっきりしない。

そういう台鉄の車内でだけ、
あの弁当はちょうどよく収まる。

味というより、
状況の問題だと思っている。

遠回りを引き受ける、という感覚

鉄路弁当を食べるために台鉄に乗る、
という行為は、
効率のよい旅ではない。

時間は余計にかかり、
予定も少し曖昧になる。

それでも、
移動そのものに理由を与えてみると、
旅の速度が一段落ち着く。

せっかく台湾に来たのだから、
こんな遠回りの仕方も、
悪くない気はしている。

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