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高雄・前金区 漢神百貨本店についての記録

高雄で百貨店の話題になると、多くの視線は北へ向かう。
新幹線とMRTが交差する場所に立つ漢神アリーナだ。

人は多く、回転は速い。
若い客層と新しい消費が、日常的に流れ込む。

一方、南にある漢神百貨本店は、同じ名前を持ちながら性格がまったく異なる。
駅から遠く、建物も新しくはない。
だが、その入口には今も エルメス、シャネル、ルイ・ヴィトン が並ぶ。

アリーナが日常の消費を担う場所だとすれば、
本店は特別な浪費のための場所だ。


垂直に完結する建築

漢神百貨本店の特徴は、平面ではなく断面にある。
下層階が百貨店、上層階がホテルという構造だ。

26階以上に入るのが、グランドハイライホテル である。

客室からエレベーターに乗り、
外に出ることなくブランドフロアへ降りる。
「上で眠り、下で買う」という動線が、建物の中で完結する。

台南や屏東、あるいは海外から訪れる客にとって、
この構造は滞在と消費を分断しない。
街に出なくても、目的は果たせる。

アリーナが水平に広がる広場だとすれば、
本店は垂直に閉じた塔だ。


社交の場としてのホテル

グランドハイライは、単なる宿泊施設ではない。
高雄においては、社交の場としての歴史を持つ。

地元名士の結婚式。
政財界の集まり。
各種団体の周年行事。

重要な顔合わせは、この建物の宴会場で行われてきた。

ロビーは装飾的で、時間が沈殿している。
高層階の客室からは、高雄港が見える。

近代的なホテルが並ぶ北側にはない、
重さと連続性が、ここには残っている。


尖らせるという選択

2019年以降の改装で、漢神本店は方向性をさらに明確にした。
幅広い客層を追わず、あえて高級に振る。

一階から三階までのブランドフロアは、
ホテルロビーと視覚的にも嗅覚的にも統一された。

大衆向けの売場は縮小され、
代わりにVIP向けの空間が増えた。

北のアリーナに量を任せ、
南の本店は質を引き受ける。
この棲み分けは、今も機能している。


不便さが作る静けさ

最寄りのMRT中央公園駅からは、少し歩く。
新幹線の駅からも距離がある。

だが、この場所に来る客は、車で来る。
多くは運転手付きだ。

アクセスの悪さは、結果として環境を守っている。
冷やかしの客は入りにくい。

静かで、密度の高い買い物の時間が保たれる。


二つの漢神が示す重心

高雄の北と南には、二つの漢神がある。
一方は人を集め、もう一方は格を保つ。

夜、グランドハイライの客室から港を見下ろすと、
街の重心がどこにあるのかが分かる。

新しいものが増えても、
この場所が持つ役割は簡単には失われない。


Key Observation
漢神百貨本店は「不便さ」と「垂直構造」によって、富裕層向けの消費と社交を今も引き受け続けている。

漢神百貨

801 高雄市前金區成功一路266-1號
11:00~21:30(金・土・連休前日 ~22:00)
高雄LRT光栄埠頭駅(C10)から徒歩約9分。
高雄MRT中央公園駅(R9)から徒歩約13分。

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