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台湾にドリンク店が多い理由を考えてみる

台北を歩いていると、
角を曲がるたびにドリンク店の看板が視界に入る。

赤。
緑。
黄色。

色も字体も違うのに、
置かれている場所はよく似ている。

歩道に面した一階。
引き戸か、半分だけ開いたシャッター。
その前に、人が一人か二人立っている。

探しているわけではないのに、
気づくとまた別の店の前を通っている。

復興南路を、
とくに目的もなく歩きながら、
どうしてこんなに多いのだろうと考えた。


手に何かを持っている人たち

信号待ちで立ち止まると、
まわりにいる人の手元が目に入る。

透明なカップ。
氷が溶ける音。
ストローを噛む癖。

三人に一人くらいは、
何かを飲んでいる。

立ち止まって飲む人は少なく、
多くは歩きながら、
あるいはバスを待ちながら、
ごく自然な動作として口に運んでいる。

台湾の湿度の高さもあるのだろう。
日差しがそれほど強くなくても、
少し歩くだけで喉が乾く。

この気候では、
飲み物が生活に入り込むのも不思議ではない。


食事の続きとしての一杯

昼どきになると、
食堂から人が出てくる。

二人か三人で食事をして、
そのまま解散せず、
通りの反対側に渡っていく。

向かう先は、
だいたいドリンク店だ。

食べる。
飲み物を買う。
職場に戻る。

この流れが、
特別なことではなく、
日常の動作として繰り返されている。

家でお茶を入れる前提ではなく、
街で飲み物を買う前提。

飲むという行為が、
住居ではなく都市側に置かれているように見える。


小さな店が入り込める街

東区に入ると、
似たような大きさのドリンク店が並ぶ通りがある。

間口は狭く、
奥行きも浅い。

台北の街は、
人の流れが細かく、
路地が多い。

建物の一階が、
ほとんどそのまま店舗になるこの都市では、
ドリンク店のような小さな商売が
入り込む余地を見つけやすい。

大きな設備はいらない。
火も油も使わない。

街の隙間と、
この業態の軽さが、
うまく噛み合っているように見える。


カウンターの中の若者たち

視点を、
買う側から売る側に移してみる。

カウンターの中にいるのは、
たいてい若い人だ。

冷蔵庫と、
シーラーと、
いくつかの容器。

狭いけれど、
どこか実験室のような空間。

飲食店を始めるのは大変だが、
これなら少しの資金と勢いで始められるのかもしれない。

始めやすく、
やめやすい。

だからこそ、
新しい店が次々と生まれ、
風景がゆっくり入れ替わっていく。

この街の独立心の強さも、
看板の数を増やしている理由のひとつだろう。


いくつもの小さな理由

結局のところ、
理由はひとつではなさそうだ。

気候。
生活の習慣。
街のつくり。
そして、若い人たちの熱量。

どれも、それなりに納得できる。
けれど、どれか一つが決定打という感じもしない。

いくつもの小さな要因が重なって、
ドリンク店だらけの台北という風景が
できあがっている。


開店準備の音

仁愛路の木陰を歩いていると、
まだシャッターを半分閉めた店の前で、
誰かが氷の袋を運んでいる。

ガタンという音。
シーラーが熱を帯びる匂い。

また一軒、
これから店を開けるのだろう。

こうした小さな準備の積み重ねが、
この街のリズムをつくっている。

ドリンク店が台北にもたらしている独特の活気は、
たしかに存在しているように思える。

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