―― 昼下がりの散歩で浮かんできた、いくつかの理由 ――
台北を歩いていると、
角を曲がるたびにドリンク店(手搖飲)の看板が目に入る。
探そうと思ったわけでもないのに、
気づくとまた別の店の前を通っている。
「なんでこんなに多いんだろう」と思いながら、
復興南路沿いを、特にあてもなく歩いてみた。
気候のせいなのかもしれない
台北は湿度が高い。
日差しはそれほど強くなくても、
少し歩くだけで喉が渇く。
この気候なら、
ドリンク店が生活に入り込むのも自然に思える。
ただ、それだけでは説明として少し足りない気もする。
湿度が高い国は他にもあるのに、
ここまでドリンク店が密集する街は、
あまり思い浮かばない。
「買って飲む」がすでに習慣になっている?
台湾では、食後に何か飲む。
それは単なる嗜好というより、
生活のリズムの一部のように見える。
・昼食を食べる
・帰りに一杯買う
・職場に戻る
この流れが、
特別なことでもない日常として繰り返されている。
“家でなく、街で飲み物を買うのが普通”
という前提が、
すでに社会に組み込まれているのかもしれない。
開業のしやすさが、供給を増やしているのか
東区に入ると、
小さなドリンク店が並んでいるエリアがいくつもある。
よく見ると、
必要な設備は意外とシンプルで、
厨房というより店舗カウンターに近い構造だ。
開業資金は比較的少なく、
廃棄ロスも少ない。
飲食店というより、
軽い販売業に近い感覚かもしれない。
この“始めやすさ”が、
参入の心理的ハードルを下げているようにも見える。
街のつくりと、相性がいいのだろうか
台北の街は、
歩道に人が流れ、
バス停が細かく配置され、
路地と幹線道路が高密度で入り組んでいる。
“少しだけ立ち寄る店”が成立しやすい構造だ。
大きな店舗が必要ないドリンク店は、
そうした街の隙間に、自然に入り込める。
建物の1階がほぼ店舗として使われている都市では、
ドリンク店は、
増えやすい場所を見つけやすいのかもしれない。
結局のところ、理由はひとつではなさそうだ
気候、
生活習慣、
開業のしやすさ、
街の構造。
どれも、それなりに納得できる。
ただ、どれかひとつが決定的とも言い切れない。
いくつもの小さな要因が、
ゆっくり重なって、
「ドリンク店だらけの台北」という風景が
できあがったのかもしれない。
仁愛路の木陰を歩きながら、
そんなことを考えていた。
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