食文化の記録– category –
台湾の料理はおいしい。とてもおいしい。
街や人の歴史ともかなり近いところにある。
牛肉麺の由来。
弁当文化が根づいた背景。
なぜあの料理がこの土地に残っているのか。
ここでは台湾の食文化や背景を少しだけ掘り下げてみる。
料理をひとつの入り口にして、
街の層を覗いているような感覚に近い。
-
食文化の記録
台湾・タピオカミルクティーの伝道師についての記録
―― 資本戦争と、動かない王者「50嵐」 ―― 今では、タピオカミルクティーは特別な飲み物ではない。東京の駅前でも、パリの商店街でも、ニューヨークのショッピングモールでも、黒い粒の入った甘いミルクティーを手軽に買うことができる。 それはもはや台湾... -
食文化の記録
台湾の熱豆漿についての記録
―― いつか見た警察官の流儀 ―― 高雄の朝。時計はまだ八時を回ったばかりだが、路上の空気はすでに重く、湿っている。コンクリートは夜の熱を手放しきれていない。店先の鉄板から立つ湯気と、排気ガスと、蒸した豆の匂いが混ざり合う。 朝食屋のプラスチッ... -
食文化の記録
台湾の地瓜球についての記録
―― 黄金色のサツマイモボール ―― 夜市の一角で、人だかりができている。理由ははっきりしている。 巨大な中華鍋(Wok)の中で、黄金色と紫色の球体が無数に踊っている。 ザッ、ザッ、という油を切る音。それに混じって、金属が鍋肌をこする乾いた響きが続... -
食文化の記録
台湾のサツマイモ(地瓜)についての記録
―― 芋の形をした島に根付く食文化 ―― 台湾の地図を広げると、南北に細長く、やや湾曲していることに気づく。それを台湾人は、よくサツマイモ(地瓜)に例える。 この比喩は冗談ではなく、ほとんど常識に近い。自分たちのことを「芋頭番薯(タロ芋とサツマ... -
食文化の記録
台湾の揚げオレオについての記録
―― 鹽酥雞の隣にある黒いクッキー ―― 夜市で鹽酥雞の屋台を眺めていると、ふと視界に入ってくるものがある。バジルでも、イカでも、鶏皮でもない。黒く、丸く、見慣れた模様。 オレオだ。 最初は見間違いだと思う。だが、よく見ると確かにメニュー表の一角... -
食文化の記録
台湾のピザハットについての記録
―― どこかおかしいのか、深く理解しているのか ―― 台湾の必勝客(ピザハット)を初めて覗いたとき、多くの旅行者は同じ反応をする。 「これは、冗談なのか?」 メニューには、見慣れたマルゲリータやペパロニの横に、明らかに文脈を無視した名前が並ぶ。 ... -
食文化の記録
最近よく聞く「Q弾」についての記録
―― 噛みごたえをめぐる、言葉の漂着について ―― コンビニの菓子棚を眺めていると、見慣れない二文字に出会うことがある。グミや冷凍食品、あるいは中華系の輸入スナック。そこに印字されているのは「Q弾」という表記だ。 日本語としては少し居心地が悪い。... -
食文化の記録
台湾の紅油抄手についての記録
―― 小籠包の隣に置かれる赤い油 ―― 皿が置かれた瞬間、まず目に入るのは色だ。白く、ほとんど無防備に見えるワンタン。その下に溜まった、異様なほど赤い油。 紅油抄手は、視覚的に強い料理である。茹でたばかりの皮は、まだ水分を含み、薄く光を反射する... -
食文化の記録
台湾の牛肉湯についての記録
―― 火を使わないという中華料理の異端 ―― 厨房を覗いて、少し拍子抜けする。鍋で何かを煮込んでいる気配がない。 丼の底に敷かれているのは、生の牛肉の薄切りだ。そこへ、透明で沸騰した出汁を一気に注ぐ。それだけで調理は終わる。 数十秒のあいだに、肉... -
食文化の記録
台湾の大根餅についての記録
―― 白い直方体が黄金色になるまで ―― 台湾の大根餅は、朝に食べられる。すりおろした大根と米粉を練って焼いた料理で、餅と書いてあるが、餅米の餅ではない。 英語のメニューに並ぶ Turnip Cake という表記は、最初の罠だ。そこにあるのはカブではなく、白...