食文化の記録– category –
台湾の料理はおいしい。とてもおいしい。
街や人の歴史ともかなり近いところにある。
牛肉麺の由来。
弁当文化が根づいた背景。
なぜあの料理がこの土地に残っているのか。
ここでは台湾の食文化や背景を少しだけ掘り下げてみる。
料理をひとつの入り口にして、
街の層を覗いているような感覚に近い。
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食文化の記録
台湾の苦瓜湯についての記録
―― 白玉苦瓜の清涼感 ―― 「ゴーヤ」と聞いて、日本人が思い浮かべるのは、濃い緑色で、表面がゴツゴツした野菜だろう。 しかし台湾のスープに入っている苦瓜は、色が違う。器の中で目立つのは、半透明の白だ。 正式には「白玉苦瓜」。長い時間をかけて改良... -
食文化の記録
台湾の排骨湯についての記録
―― 二つの色を持つスープ ―― 食堂の壁に、ただ「排骨湯」と書かれている。それだけでは、どちらが来るのか分からない。 白い澄んだスープか。それとも、赤茶色に濁った一杯か。 台湾の排骨湯には、最初から二つの顔がある。そしてこの二つは、味の濃淡の違... -
食文化の記録
それぞれの大饂飩についての記録
―― 記憶に刷り込まれた黄色い虎 ―― 台北に長くいた人には、ある色が記憶に沈殿している。 黄色い地に、赤い文字。少し古風な虎のマーク。 かつて「老虎醤温州大餛飩」といえば、この配色だった。それは味や店名よりも先に、「安くて、量が多い」という情報... -
食文化の記録
台湾・老虎醤温州大餛飩についての記録
―― 巨大なワンタンが売りのチェーン店 ―― 台北の街を歩いていると、一定の間隔で同じ色が視界に入る。白地に、赤い文字。 老虎醤温州大餛飩この看板は、派手ではない。しかし、探そうとしなくても、必ず見つかる位置に立っている。 コンビニほど無機質では... -
食文化の記録
台湾の饂飩湯についての記録
―― 飲み物に限りなく近い一杯 ―― 器の中を覗き込むと、そこには形を失った白い膜が漂っている。輪郭は曖昧で、固体なのか液体なのか判然としない。 箸で持ち上げると、薄い皮が長く垂れ下がり、湯の中で揺れる。その様子は、水槽の中を泳ぐ金魚の尾ひれに... -
食文化の記録
台湾の魚丸湯についての記録
―― 白く柔らかな外見に隠されたもの ―― 器が置かれた瞬間、まず目に入るのは白だ。 魚のすり身を練って作られた団子を、澄んだスープで煮たものだ。 少し歪な楕円形。雪だるまのような二段構え。表面はなめらかで、柔らかそうに見える。 貢丸のような完全... -
食文化の記録
台湾の猪血湯についての記録
―― 赤黒い見た目と、穏やかな食感 ―― 運ばれてきた瞬間、一度、目が止まる。 透明なスープの中に沈む、赤黒い直方体。 現代アートの展示か、何かの儀式の一部のようにも見える。 英語で書けばPig’s Blood Cake Soup。説明は正確だが、少し身構えさせる。 ... -
食文化の記録
台湾の酸辣湯についての記録
―― 餃子を支える一杯 ―― 台湾の餃子店に入ると、ほぼ例外なく、酸辣湯が品書きの上の方にある。 透明ではない。濁っている。多くの具材が、細長く刻まれ、とろみのついたスープの中に沈んでいる。 名前の通り、酸と辣が同時に来る。 ただし、四川料理のよ... -
食文化の記録
台湾の貢丸湯についての記録
―― 最も基本的なスープの一つ ―― 台湾の食卓で、最も基本的なスープの一つが貢丸湯だ。透明な豚骨スープに、灰色がかった豚肉団子が浮く。薬味はセロリと白胡椒。余計なものは入らない。 見た目は極めて静かだ。澄んだ液体の中で、団子はほとんど動かず、... -
食文化の記録
台湾の鶏肉飯についての記録
―― 看板に刻まれた「嘉義」の文字 ―― 台北でも、高雄でも。鶏肉飯の看板には、決まって「嘉義」の二文字がある。 繁華街の路地でも、駅前の食堂でも、まるで原産地表示のように、その地名は繰り返される。 「嘉義」と書かれていない鶏肉飯は、どこか借り物...