台南 消えたラグーンと古都についての記録
赤崁楼から安平までは、いまなら街路を歩いて行ける。けれど17世紀、この二つの城の間には道ではなく、船が行き交う海が広がっていた。
赤崁楼から安平までは、いまなら街路を歩いて行ける。けれど17世紀、この二つの城の間には道ではなく、船が行き交う海が広がっていた。
高雄港の対岸に見える旗津は、海に突き出した細長い砂州だ。外側では波が荒れる一方、港側の水面は驚くほど静かで、古い街並みと巨大なコンテナ船が同じ景色に収まっている。
高雄の海沿いでは、倉庫とクレーンの並ぶ岸壁が、湿地や砂洲の名残を覆うように続いている。街の道路も港へ向かって直線的に伸び、自然にできた港町とは違う輪郭を見せる。
台北から鉄道で約40分の基隆は、山に囲まれた港の周囲を砲台跡に囲まれ、雨に濡れた石垣が今も残っている。クルーズ船が出入りする湾の背後に、街とは別の時間を刻む丘がある。
台北駅の周辺は、高層ビルと広い道路が続く平らな街に見える。その一角に、かつて城門だった北門だけが、周囲の都市から少しずれて立っている。
台湾の商店街では、建物の1階が少し引っ込み、その前の屋根付きの空間が隣の建物へ途切れず続いている。足元には段差や素材の違いが現れ、そこにバイクや食卓まで入り込んでいる。
美麗島駅を出ると、夕方の六合夜市は車道から歩行者天国へ姿を変える。夜市らしい混雑を予想して歩き始めても、通りには家族連れや車椅子が無理なく進める余白が残っている。
台南へ向かう高鐵のホームを、白とオレンジの列車が時速300キロで駆け抜けていく。日本の新幹線によく似た車両の足元には、欧州方式の線路や設備が組み込まれている。
夕方の南雅東路には、麵線や麻油雞の湯気の隣で、衣料品や日用品を選ぶ人の姿がある。小籠包を何籠も持ち帰る人もいて、一本道の夜市は食べ歩きだけではない時間をつくっている。
夕方の裕民街では、仕事帰りの会社員も、部屋着姿の人も、屋台の前で手早く夕食を受け取っていく。細い通りを人とバイクが行き交うその場所に、観光地らしい呼び込みや派手な看板はほとんどない。