街角の記録– category –
ここには、台湾の街角で出会った風景をまとめている。
歩いていて、ふと目にとまった建物や仕組みもあれば、
理由もなく何度も足が向く場所もある。
そこにどんな空気が流れていたのか、
どんな人がいて、どんな時間が積み重なってきたのか。
食とは少し離れた場所の歴史や気配も、静かに残しておきたい。
台北、台中、高雄を中心に、
台湾の“街の片隅”を少しずつ集めていく予定。
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街角の記録
高雄・中央公園についての記録
―― 爆破解体されたスタジアムと世界で最も美しい駅 ―― 現在の高雄中央公園は、見通しがよく、地面の起伏もなだらかだ。芝生の向こうに空があり、人はどの方向からでも出入りできる。 だが、ここは元から開かれた場所ではなかった。2000年代初頭まで、この... -
街角の記録
高雄駅の地下化についての記録
―― 3,000トンの駅舎が「歩いて」帰ってくるまでの物語 ―― 2002年、高雄駅の地下化工事が始まった。問題は、1941年に建てられた旧駅舎だった。 通常であれば、解体か部分保存が選ばれる。高雄市は、別の判断をした。 建物ごと、横にずらす。総重量はおよそ2... -
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高雄・塩埕区の歴史についての記録
―― かつての「黄金の都」が放つ、鈍色の輝き ―― 塩埕区という地名は、もともと塩を干す土地だったことを示している。 湿地に近い低地で、長いあいだ、都市の中心とは無縁の場所だった。 高雄港が拡張され、埋立地の哈瑪星が手狭になると、商業の重心が少し... -
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高雄・哈瑪星 代天宮についての記録
―― 市役所跡地に建てられた寺院 ―― 哈瑪星の路地を歩いていると、ある地点で、視界が急に開ける。 低い建物が続く街並みの中に、突然、巨大な中華風の宮殿が現れる。代天宮だ。 廟の前には広場があり、年配の男性が将棋を指し、屋台からは湯気が立ち上り、... -
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高雄・哈瑪星の地名の由来についての記録
―― 線路が街名になった埋め立て地 ―― 高雄の地図を眺めていると、ひとつ妙な地名に出会う。「哈瑪星」。 中国語読みは「ハー・マー・シン」。意味はない。少なくとも、漢字としての意味は成立していない。 だが、これを日本語の音に戻すと、すべてが腑に落... -
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草に埋もれた「旧高雄駅」についての記録
―― 帝国の南端、世界の始発駅 ―― MRT哈瑪星駅(旧・西子湾駅)を出ると、高雄の街にしては異様なほど、視界が開ける。 建物はない。舗装もない。あるのは、どこまでも続く芝生だけだ。 だが足元をよく見ると、草の下から鉄が浮き出ている。一本や二本では... -
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高雄85大樓の再生への道のりについての記録
―― 雲を突く廃墟の解決不能なパズル ―― 高雄のどこからでも見えるその塔は、「高」という文字を模して設計されたという。 かつて台湾一の高さを誇った、85大樓(85 Sky Tower)。 遠景で見れば、それは今も港都の王として君臨しているように見える。 だが... -
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高雄85大樓の衰退についての記録
―― バブルの墓標、天空のゴーストタウン ―― 高雄の街を歩いていると、ふと視界の端に巨大な影が差し込む。振り向くと、85大樓が立っている。 かつて台湾一の高さを誇り、港都・高雄の野心そのものだった建築。しかし今、その輪郭はどこか鈍く、周囲の再開... -
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高雄港の再開発についての記録
── 哈瑪星からYouBikeで南へ下る ── MRT哈瑪星駅で地上に出る。改札を抜けると、視界は意外なほど開けている。いまでは当たり前のこの風景が、20年前には存在しなかった。 当時の高雄港は、軍事と物流の聖域だった。市街地と港のあいだには高い塀があり、... -
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高雄でYouBikeに乗るということについての記録
— 歩かない街の機動力— 高雄を歩いていると、距離感が少しずれる。道は広く、区画は大きい。MRTの駅と市場、あるいは目当ての食堂の間が、微妙に離れている。 徒歩15分。数字だけ見れば大した距離ではない。だが、南から湿気を含んだ風が吹く朝、その15分...