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食文化の記録
鼎泰豊の本当の始まりについての記録
―― 油屋と居候の点心師 ―― 鼎泰豊の話は、よく単純化される。油屋が行き詰まり、創業者が起死回生の一手として小籠包を考案し、それが大ヒットした。そういう筋書きだ。 それは半分正解だが、半分間違っている。 最初の一個を蒸し上げたのは、創業者ではな... -
食文化の記録
台湾・鼎泰豊が世界に見つかった日についての記録
―― 1993年NYタイムズ紙 ―― 1993年1月17日、ニューヨーク・タイムズ紙に「Top-Notch Tables(一流の食卓)」という特集記事が掲載された。 そのリストは、当時の常識からすれば異様だった。 パリの三ツ星「タイユヴァン」。ロンドンの「サントリー」。香港... -
食文化の記録
台湾の滷(ルー)についての記録
―― 老滷と滷味が作る台湾の匂 ―― 台湾の空港に降りたとき、あるいは夜市に足を踏み入れたとき、鼻をくすぐる独特の甘く重い香りがある。 その正体は、漢方の香りと醤油が煮詰まった匂いだ。八角やシナモンが先に立ち、あとから砂糖と肉の脂が追いかけてく... -
食文化の記録
台湾・蓬莱米の開発についての記録
―― 南国の島で育つ日本の米 ―― 台湾で魯肉飯を食べる日本人は、ある事実に気づくことがある。米が粘っている。 ベトナムやタイなど、同緯度の東南アジア諸国の主食は、パサパサとした長粒種(インディカ米)である。それが普通の景色になっている。 しかし... -
食文化の記録
台湾の池上米についての記録
―― 台湾人が認める最高の米 ―― 台湾人に一番美味しいお米はどこか、と尋ねると、池上(チーシャン)だと返ってくることが多い。即答に近い速度で言われることもある。 台北のスーパーでも、池上の認定マークがついた米は他より高く売られている。同じ袋の... -
マレーシア
KLセントラルの2つのABCについての記録
―― 眠らない双子のビストロ ―― KLセントラル駅のNu Sentral側出口を出る。エスカレーターを降り、モノレールの高架下へ向かう。横断歩道の手前で、一度足が止まる。 ここがブリックフィールズ(Brickfields)の事実上の入口になる。リトル・インディアと呼... -
食文化の記録
台湾・小籠包の食べ方についての記録
―― 多くは鼎泰豊が広めたもの ―― 小籠包の食べ方、という記事やコンテンツを目にすることがある。旅行前に読む人もいるし、店の行列に並びながら見る人もいる。 レンゲに乗せる。皮を少し破る。先にスープをすする。そういう手順が、だいたい同じ形で並ん... -
マレーシア
ロンドンで愛されるナシレマについての記録
―― ココナッツオイルという免罪符 ―― 2016年、米TIME誌が「10 Healthy International Breakfasts(世界のヘルシーな朝食10選)」を発表した。トルコの朝食や、日本の「おかゆ」と並んで、マレーシアのナシレマ(Nasi Lemak)が選ばれた。 そのニュースはマ... -
食文化の記録
台湾・二人の食の外交官についての記録
―― 鼎泰豊、春水堂、そして微熱山丘 ―― 日本や海外の街を歩いていると、台湾発祥のブランドが自然に目に入る。意識して探すというより、視界に入ってくる。 85°C。Sushi Express。Gong cha。Chatime。CoCo。 駅前の商業施設の中だったり、空港の動線の途中... -
食文化の記録
台湾・鼎泰豊のチャーハンについての記録
―― 常連客の「本当の注文」 ―― 鼎泰豊に行ったら、テーブルを見渡してほしい。観光客は小籠包を食べている。ただ、地元の常連や食通のテーブルには、別の主役がいることがある。 排骨蛋炒飯。豚肉の唐揚げが乗ったチャーハンだ。 小籠包の蒸気よりも先に、...