―― 注文方法と主要メニューまとめ ――
台湾の街角で、最も頻繁に目に入る食事処が「便當(弁当屋)」だ。
飾り気のない茶色い箱に、白飯と主菜、副菜が詰められている。
安価で、早くて、温かい。
特別な料理ではないが、台湾の日常的なエネルギー源として機能している。
基本は持ち帰り文化だが、店内に簡単なテーブルがあり、その場で食べることも多い。
昼時になると、弁当の入った袋をバイクにぶら下げた人たちが、一斉に街へ散っていく。
注文の流れ
台湾の弁当屋での注文は、ほぼ定型化されている。
① 内用か、外帶か
最初に伝えるのは、ここで食べるか、持ち帰るか。
- 外帶(ワイダイ):持ち帰り。主流はこちら。
- 内用(ネイヨン):店内で食べる。箱のまま渡されることも、皿に盛られることもある。
店によっては、無料のスープや紅茶が用意されている。
② メイン(主菜)を選ぶ
壁やカウンターのメニューを見て、食べたい主菜を一つ告げる。
排骨、鶏腿、魚など、店ごとに定番がある。
③ 副菜(配菜)を選ぶ
ガラスケースに並んだ惣菜から、3品ほど選ぶ。
言葉が通じなくても、指差しで成立する。
迷う場合は、店員に任せることもできる。
④ 会計と片付け
商品と引き換え、あるいは食後に支払う。
内用の場合は、食後に自分でゴミを分別して片付けるセルフ方式が一般的だ。
メニュー分類|主要な7つの選択肢
台湾弁当でよく見かける代表的な主菜を、記録として整理している。
① 排骨飯(パイクーファン)
豚のスペアリブ。揚げるか、煮るか。
店の実力を測る基準になる、最も基本的な選択肢。
② 炸雞腿飯(ジャージートゥイファン)
骨付き鶏もも肉の一本揚げ。
皮のパリパリ感と肉汁を楽しむ、少し贅沢な弁当。
③ 燒雞腿飯(シャオジートゥイファン)
甘辛い蜜汁に漬けて焼いた鶏もも肉。
揚げ物よりも柔らかく、重たさが少ない。
④ 雞排飯(ジーパイファン)
叩いて伸ばした鶏むね肉の巨大フライ。
表面積と量で満腹を取りにいく選択。
⑤ 焢肉飯(コンロウファン)
豚の角煮(三枚肉)。
脂とタレが白飯に染み込む、最も背徳的な弁当。
⑥ 虱目魚肚飯(サバヒーの腹身)
丁寧に骨抜きされた魚の腹身。
価格は高めだが、脂の質がまったく違う。
⑦ 三杯雞飯(サンベイジーファン)
醤油・ごま油・酒・九層塔で煮詰めた鶏肉。
香りで白飯を制圧するタイプの弁当。
雑記|温かい昼の風景
台湾では、「食事は温かいうちに食べるもの」という感覚が強い。
昼時になると、出来立ての弁当を受け取り、
すぐにその場で食べるか、急いで持ち帰る。
特別な演出はない。
だが、この当たり前の弁当が、今日も街を動かしている。
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