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高雄の街が南に延びない理由についての記録

高雄の地図を眺めると、ある偏りに気づく。
左営や楠梓といった北側は、山が近いにもかかわらず、街が連続している。
高層住宅や新しい区画が、途切れずに並ぶ。

一方で、前鎮や小港といった南側は、平地が広がっているように見える。
港があり、国際空港があり、MRT紅線も通っている。
それでも、街の輪郭は途中で止まる。

スカイラインは低いままだ。
理由は一つではない。


空・土・地上が重なる場所

南に街が伸びなかった理由は、単純な人気不足ではない。
空、足元、そして地上。
三つの制約が、同じ方向から重なってきた。

まず空。
小港空港が市街地の真南に位置するため、広範囲に高さ制限がかかる。
北側なら成立する規模の建物でも、南では成立しない。

次に土。
南の臨海部には埋立地が多く、地盤は軟らかい。
地震時の液状化リスクが高く、基礎工事に多額のコストが必要になる。

そして地上。
臨海工業地帯、石油化学施設、軍事施設が帯のように横たわり、
生活圏を物理的に分断してきた。

これらは個別の問題ではない。
重なり合うことで、南を投資対象として成立しにくい場所にしてきた。


空白が動き始めた瞬間

それでも、南が放置されてきたわけではない。
長く閉ざされていた最大の障壁が、ようやく動き始めた。

前鎮にあった第205兵工廠。
東京ドーム十二個分に相当する広大な敷地が、移転の段階に入った。

この空白が意味するのは、再開発用地の確保だけではない。
分断されていた都市構造そのものが、縫い合わされる可能性だ。

IKEA周辺と夢時代周辺。
これまで別々に存在していた商圏が、地続きになる。
南高雄は外へ伸びるのではなく、内側の空白を埋めることで再構築されようとしている。


企業城下町としての再設計

この動きに最も早く反応したのが、統一グループだった。
彼らは単なるモール拡張を選ばなかった。

計画の中心にあるのは、本社機能の集約だ。
四十階を超える複合高層ビルを建て、オフィス、ホテル、住宅を重ねる。
物流、証券、流通の中枢機能も周辺に配置される。

数千人規模の人が、ここで働き、暮らし、消費する。
平日は静かだった夢時代が、日常の中心になる。

南高雄は住宅地として拡張されるのではない。
企業城下町として、密度を高める方向を選んだ。


北は膨張、南は熟成

高雄の北は、人口を受け止めるために広がってきた。
量を増やすための成長だった。

南は違う。
工場、地盤、制限という過去の負債を整理しながら、
質を切り替える時間を過ごしてきた。

南の空は低いままだ。
だが、その下では、高雄で最も密度の高い経済圏が形を取り始めている。

高雄の街は、南に延びなかったのではない。
延びる必要のない形へ、変わろうとしている。

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