―― 昼にも開いている「夜市」 ――
台北の南京復興駅周辺は、
オフィスビルが立ち並ぶビジネス街だ。
南京東路の大通りは車とバスで埋まり、
歩道を行く人々も足早に過ぎていく。
台北の中でも、
都市の動きが特に速いエリアの一つだ。
そのビル群の谷間に、
一区画だけ、
まったく別の速度で動いている場所がある。
遼寧街夜市だ。
夜になるまでもなく、
すでに何軒かの店は開いている。
ここでは「夜市」という言葉より、
通りの食堂街に近い空気が先にある。
食事に特化した夜市
遼寧街には、
洋服屋や雑貨、ゲーム屋はほぼ見当たらない。
屋台というより、
小さな食堂のような店構えで並んでいる。
鍋、麺、焼き物、海鮮。
どこも、調理の匂いが通りににじんでいる。
夜のにぎわいはあるが、
観光地のような喧騒ではない。
どちらかといえば、
仕事帰りの食事を受け止める通りに近い。
30年、40年と続いている店も多い、
と言われているが、
それを誇示するような様子はない。
ただ、時間の積み重なりがそのまま残っているだけだ。
福聚宮と夜市の始まり
通りの端には、
福聚宮という小さな廟がある。
この廟の縁日で屋台が出始めたことが、
遼寧街夜市の始まりとされている。
そこから、
露店が常設になり、
やがて店として定着していった。
観光地として作られた夜市ではなく、
人の流れと生活の中で形になった通り。
その経緯が、いまの空気にも薄く残っている。
夜だけではない居場所
日が高いうちから開いている店が多く、
通りには時間帯ごとの濃淡がある。
昼は仕事の合間の食事の場所として、
夜は一日の終わりの食事の場所として、
同じ空間が使い分けられている。
そこに、観光地的な緊張はあまりない。
遼寧街は、
誰かの日常の延長として、
今日もそこにあり続けているように見える。
住所: 台北市中山區遼寧街
営業時間: 昼頃〜深夜(店舗により異なるが、昼も営業する店が多い)
アクセス: MRT南京復興駅から徒歩約5分
地図: https://maps.app.goo.gl/E9WBcGQVnEMdLeTF7
観光夜市ではないため、通路は狭くバイクも通る。
歩き食べよりは、店先のテーブルに座って食べるスタイルが主流。
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