台湾・小籠包のニューウェーブについての記録
台北では18のひだを数える小籠包の隣に、19のひだを誇る一粒が並ぶ。海を越えれば、皮は緑や黒に染まり、チョコレートやカニまで包み込んでいる。
台北では18のひだを数える小籠包の隣に、19のひだを誇る一粒が並ぶ。海を越えれば、皮は緑や黒に染まり、チョコレートやカニまで包み込んでいる。
蒸籠の蓋を開けると、白いはずの小籠包に赤、緑、黒、黄色が並んでいる。しかも色は飾りではなく、それぞれ別の味を知らせる印になっている。
マレーシアのフードコートやドバイのモールで、蒸籠から湯気を立てる小籠包に豚肉は入っていない。それでも皮の中には、箸で破れば流れ出すスープが残っている。
台湾の空港や夜市では、八角やシナモンの香りに、醤油と肉の脂の重い匂いが重なる。屋台の棚には、卵も豆腐も昆布も同じ茶色に染まって並んでいる。
台湾で魯肉飯を食べると、南国の長粒米を思い浮かべていた人ほど、箸にまとわりつくご飯に気づく。米屋ではその丸い米の隣に、細長くさらりとした米も並んでいる。
台北のスーパーでは、池上の認定マークが付いた米だけ値札が少し高い。山と山に挟まれた台湾東部の谷の名が、遠く離れた都市の米売り場で特別扱いされている。
レンゲに小籠包を乗せ、皮を少し破り、先にスープをすする。台湾の店先や旅行者向けの案内で繰り返されるこの手順は、昔からの中華料理の作法とは少し違う形で定着している。
駅前の商業施設や空港の動線には、鼎泰豊の蒸籠、春水堂のカップ、微熱山丘の箱が、現地の店と同じ顔で並んでいる。台湾を強く名乗る看板ではないのに、そこには台湾の印象が残る。
宜蘭の市場では、肉や魚より先に、白い部分の長い葱の束が目に入る。葱油餅や葱抓餅にも山盛りで使われ、スーパーでは同じような葱より値札だけが高い。
台湾の食卓で毎日のように食べられている魯肉飯が、ミシュランの一冊では「発祥:中国・山東省」と記されていた。数文字の記述に対し、台北では市長の抗議と、1000杯を振る舞う催しまで起きた。