どこの夜市でも屋台が似通っている理由についての記録|台湾
士林夜市で聞いたサイコロステーキの音が、高雄の六合夜市でも同じリズムで響いている。黒糖タピオカや巨大フライドチキンまで、看板の色と書体を含めて似た屋台が並ぶ。
士林夜市で聞いたサイコロステーキの音が、高雄の六合夜市でも同じリズムで響いている。黒糖タピオカや巨大フライドチキンまで、看板の色と書体を含めて似た屋台が並ぶ。
台湾の食堂では、鍋やご飯釜、まな板が店内ではなく騎楼や軒先に並び、通りすがりの客の目の前で料理が仕上がっていく。食堂と道路の境目に立つと、厨房が建物の中だけの設備には見えなくなる。
台北の街が週の仕事を始める月曜の昼、普段なら湯気と人声で埋まる食堂には「星期一公休」の貼り紙が並ぶ。チェーン店は開いているのに、家族経営の店ほどシャッターを下ろしている。
夕暮れの台湾で、ベートーヴェンの旋律を追うように人々が黄色いごみ袋を手に通りへ出てくる。音楽が止まるまでの数分間、収集車のまわりだけに小さな列と会話が生まれている。
台中の中心部を歩くと、道路は広く、区画は東西南北にきれいに揃っている。海にも大きな川にも面していない街に、都市の骨格だけが先に置かれたように見える。
台北松山空港の窓の向こうには、日本、中国、韓国の航空会社の機体が、ほとんど同じ距離感で並んでいる。行き先はいずれも、郊外ではなく都市の中心に残された空港だ。
着陸直前、古いアパートの貯水槽や揺れる洗濯物が、手の届きそうな距離まで迫ってくる。機体は高層ビル群を避け、基隆河に沿って台北の中心へ降りていく。
台南の市街地で「鯤鯓」という地名に出会っても、海やクジラの姿は見えない。かつて沖合に並んでいた七つの砂州は、いまでは城跡や島、市街地の下に分かれて残っている。
赤崁楼から安平までは、いまなら街路を歩いて行ける。けれど17世紀、この二つの城の間には道ではなく、船が行き交う海が広がっていた。
高雄港の対岸に見える旗津は、海に突き出した細長い砂州だ。外側では波が荒れる一方、港側の水面は驚くほど静かで、古い街並みと巨大なコンテナ船が同じ景色に収まっている。