台北・板橋 板橋裕民夜市についての記録
夕方の裕民街では、仕事帰りの会社員も、部屋着姿の人も、屋台の前で手早く夕食を受け取っていく。細い通りを人とバイクが行き交うその場所に、観光地らしい呼び込みや派手な看板はほとんどない。
夕方の裕民街では、仕事帰りの会社員も、部屋着姿の人も、屋台の前で手早く夕食を受け取っていく。細い通りを人とバイクが行き交うその場所に、観光地らしい呼び込みや派手な看板はほとんどない。
台電大樓駅から龍泉街へ歩くと、許記生煎包や師園鹽酥雞の前には行列と強い匂いがある。けれど通りの奥へ進むほど、屋台の気配は住宅街の灯りに細く切り替わっていく。
夕方の延平北路三段では、屋台の前に人の列より多くのバイクが並び、客は注文を受け取ると数分で走り去っていく。提灯や映える甘味の少ない短い通りに、米糕や湯圓、排骨湯の店が肩を寄せている。
昼間は静かな住宅街の永和で、夜になると学生や家族連れの流れが永平路に集まり、服屋と屋台のあいだを途切れずに進んでいく。揚げ油や香辛料の匂いが重なる通りには、派手な看板のない店にも人が溜まっていた。
台北101の光が届く臨江街では、家具店のシャッター前に夕方から屋台が並び、スーツ姿の会社員や近所の住民が食事を買っていく。同じ一本道が、昼と夜で別の使われ方をしている。
台北・中山区の雙城街では、昼どきに水餃子や麺を食べる人が並んでいた通りが、夕方になると揚げ物の匂いと屋台の灯りに包まれる。隣の晴光市場との境目も曖昧なまま、同じ場所の使われ方だけが変わっていく。
寧夏路の数百メートルに、牡蠣オムレツや豚レバースープ、芋餅を出す屋台が途切れず並んでいる。大きな夜市を歩くような広がりはないのに、食べたいものを探す人の列がこの一本道に集まっている。
派手な看板と人の波が続く士林夜市の中心で、線香の匂いが漂う慈誠宮だけは、別の時間を保っている。大通りの喧噪を外れると、古い麺店や果物店のある路地が現れる。
台北橋を渡り、坂を下った先では、買い物客の肩をかすめてスクーターが夜市の通りを抜けていく。揚げ油と排気ガスの匂いが混じる狭い道に、夕食だけでなく靴や衣料品の店まで並んでいる。
台北の通りでは、赤い看板と緑の看板が同じように並び、棚の商品や公共料金の支払いにも大きな違いは見えない。それでも、少し歩くと赤い看板の連続する区間に出会う。