KLセントラルの2つのABCについての記録
KLセントラルのNu Sentral側出口を出ると、横断歩道の手前に赤と青の「ABC」が並んでいる。早朝も深夜も白い蛍光灯がつき、駅から流れてきた人がそのまま席に入っていく。
KLセントラルのNu Sentral側出口を出ると、横断歩道の手前に赤と青の「ABC」が並んでいる。早朝も深夜も白い蛍光灯がつき、駅から流れてきた人がそのまま席に入っていく。
Jalan TARの色褪せた緑の看板の下で、皿の上では赤や黄色より先に、粘度のある漆黒が立ち上がる。狭い店内では、立場も言葉も違う客が肩を寄せ、同じ重い昼食に手を伸ばしている。
Jalan TARのSOGO前では、排気音の中にカレーの香りが立ち、ガラス越しに見える皿の動きへ人が次々と吸い込まれていく。行列の先で盛られるのは、店名を冠した甘い揚げ鶏と、何種類ものカレーが重なる一皿だ。
キャンベルストリートの黄色いショップハウスでは、観光客が入口で足を止める横を、地元の人が慣れた様子で通り過ぎていく。店内に入ると、カレーの匂いに混じって、砕いたスパイスのような鋭い香りが立っている。
高雄の大立百貨にあるルイーサ咖啡は、見慣れたオレンジ色の看板から想像する店内とは少し違う。蔦屋書店の本棚の先には、五福路のロータリーを見下ろす窓際の席がある。
KLIAエクスプレスの冷えた車内を出て、KLセントラル駅直結のモール地下へ降りると、空気が金属と冷気から焦げたスパイスと油の匂いへ変わる。そこには、地元では「高くて普通」と言われるナシカンダーの店が、到着客の動線上に開いている。
12月の高雄・左営で芒果好忙を訪れると、店名の主役であるマンゴーは姿を消し、氷の丼を真っ赤なイチゴが覆っている。そこへ大きなプリンまで載せられると、かき氷はもうデザートだけの大きさではない。
南国の高雄で、「北方面食」と書かれた店の蒸籠から、厚めの皮を破って肉汁があふれる。牛肉捲餅は箸で持ち上げるとずしりと重く、軽食というより一食分の存在感を見せている。
赤い看板と強い照明、呼び込みの声が続く六合夜市を西へ抜けると、白い外壁と大きな窓のカフェが現れる。二階席からは夜市の人の流れが見えるのに、その音はほとんど届かない。