日本・とんこつラーメンの海外展開についての記録
ニューヨークやロンドンの「Ramen」のメニューには、醤油や塩より先に、白濁したスープの写真が並ぶ。九州の一地方料理だった一杯が、海外ではラーメンの顔になっている。
ニューヨークやロンドンの「Ramen」のメニューには、醤油や塩より先に、白濁したスープの写真が並ぶ。九州の一地方料理だった一杯が、海外ではラーメンの顔になっている。
器の底が見える澄んだ汁が好まれてきた日本で、豚骨ラーメンだけは白く濁り、骨の粒や強い香りまで抱えている。いまでは整った一杯として出されるその姿も、はじまりから完成形だったわけではない。
ラーメン店のカウンターでは、隣り合う客が会話もせず、湯気の立つ丼に向かって一斉に麺をすする。数分で食べ終える一杯の中には、色も香りも濃さもまるで違う世界が並んでいる。
いまの台北の夜市に並ぶ牛肉麺や小籠包を、1949年以前の風景へそのまま移すと、看板の多くが消えてしまう。そこに残るのは、サツマイモや在来米を使った、別の食卓だった。
台湾中部を横切る濁水渓を越えると、同じ名前の料理でも甘さと塩気の印象が変わる。橋や道路が南北をつないだあとも、食卓には川を境にした違いが残っている。