台湾から世界へ・タピオカの伝播についての記録
ロサンゼルス郊外の簡素な店で、台湾系移民向けに売られていた黒い粒入りの飲み物は、いまやパリや東京の街角にも同じ姿で並んでいる。手鍋の一杯が、国境を越えて再現されるまでには、いくつもの境目があった。
ロサンゼルス郊外の簡素な店で、台湾系移民向けに売られていた黒い粒入りの飲み物は、いまやパリや東京の街角にも同じ姿で並んでいる。手鍋の一杯が、国境を越えて再現されるまでには、いくつもの境目があった。
太いストローで冷たいミルクティーを吸うと、液体の途中から弾力のある粉圓が上がってくる。お茶として飲んでいるはずの一杯に、食べる動作が組み込まれている。
台湾の夜市では、マンゴーと練乳を載せたかき氷が、溶け始めたそばから食べられていく。一方、都市のカフェで並ぶビンスーは、長く形を保ったまま、席とスマートフォンの前に置かれている。
一口かじると、薄い皮が乾いた音を立てて崩れ、麦芽糖の餡だけがゆっくり伸びる。台中土産の定番になった菓子は、最初からきれいに食べられるようにはできていない。
台湾土産の定番、鳳梨酥を割ると、餡は思い描いていたほどパイナップル色ではない。店先には、なめらかで甘い餡の品と、酸味と繊維を前面に出した品が並んでいる。
台湾のカフェで渡されるストローは、紙のように見えない。氷入りのドリンクに長く差してもふやけず、タピオカを吸っても形を保ったまま、飲み物の味や香りを邪魔しない。
ベトナム中南部、標高1,000メートルを超える赤土の高原に、青心烏龍や金萱の茶畑が広がっている。畝の間隔や作業道のつくりまで、遠く離れた台湾中部の産地とよく似ている。