台湾の胡椒餅についての記録
中華鍋と湯気が並ぶ台湾の屋台で、胡椒餅の店だけは赤茶けた円筒形の窯を据え、白い生地を内壁に貼り付けている。硬い殻を噛むと、黒胡椒の刺激とともに肉汁と蒸気が飛び出す。
中華鍋と湯気が並ぶ台湾の屋台で、胡椒餅の店だけは赤茶けた円筒形の窯を据え、白い生地を内壁に貼り付けている。硬い殻を噛むと、黒胡椒の刺激とともに肉汁と蒸気が飛び出す。
「清粥」とだけ書かれた店の引き戸を開けると、鍋の白粥より先に、魚の煮付けや角煮、卵焼きが並ぶカウンターが目に入る。粥を食べに来たはずの客は、目の前の小菜を指差しながら、自分の皿を選んでいく。
台湾の食堂でお粥をすすると、鶏や米の旨味はあるのに、塩気だけが手前まで出てこない。卓上には白胡椒、豆腐乳、塩漬け卵が並び、料理の味が皿の中だけで完結していない。
台湾の朝食店では、ほんのり甘いサツマイモ粥の脇に、豆腐乳や鹹蛋、肉鬆といった塩辛い小菜が並ぶ。粥をすすっては小菜をつまむ食卓には、日本で思い浮かべる「お粥」とは違う食べ方がある。
台湾の屋台やカフェでは、オレオが袋から出したままのクッキーとしてではなく、車輪餅に埋まり、ピザに載り、ミルクティーの表面を覆っている。黒い円形や砕けた粒が、甘い菓子の姿から離れて別の役割を与えられている。
台湾の屋台で「車輪餅」と書かれた円盤を割ると、薄く乾いた皮の内側から餡が流れ出し、別の店では切り干し大根やチーズ、タピオカまで現れる。見た目は今川焼きに似ているのに、包まれているものも、噛んだときの感触も一様ではない。
台湾のドリンクスタンドや車輪餅の屋台では、「紅豆」の横に産地名の「萬丹」が添えられている。煮た豆は粒を残しながら、口に入れると弾むのではなく、薄い皮ごと静かにほどけていく。
冷凍うどんのコシ、ポン・デ・リングの歯に返る弾力、冷蔵庫から出したスイーツのモチモチ感。どれも日本の食卓に昔からあった食感のようで、原材料表示には「加工デンプン」という別の顔が見える。
台湾のピザには黒糖味のタピオカが乗り、ワッフルを切ると白い餅がチーズのように伸びる。見た目は海外の料理でも、噛んだ瞬間に返ってくる感触だけが別の基準で組み立てられている。