台湾・度小月の担仔麺についての記録
台南の通りに面した店で、観光客が行き交う空調の効いた店内に、古い竈と低い椅子だけが残されている。職人はその前で、赤い提灯の下、担仔麺を黙々と茹で続けている。
台南の通りに面した店で、観光客が行き交う空調の効いた店内に、古い竈と低い椅子だけが残されている。職人はその前で、赤い提灯の下、担仔麺を黙々と茹で続けている。
台南の担仔麺は、細い麺に肉燥と海老を一尾だけのせ、海老の頭から取った透明なスープを小さな椀に注ぐ。低い竹椅子に座ってその一杯をすすると、量の少なさとは別の輪郭が見えてくる。
台北や台中の朝食屋では、薄い生地に卵とネギを重ねた二つの料理が、よく似た名前で並んでいる。鉄板の前で見分けにくいその二つは、ひと口目の歯ざわりから別の食べ物になる。
屋台の鉄板では、葱油餅も葱抓餅も、粉とネギと油から同じように焼き上がる。けれど最後にヘラが生地へ加える動きによって、片方は平らな円盤に、もう片方は空気を含んだ立体になる。
鉄板の上で生地を叩く音と、ラードでネギが焦げる匂いが、台湾の街角にはある。小麦粉、水、ネギ、塩、油だけの薄い一枚が、店ごとにサクサクとモチモチの幅を見せている。
東京やパリの駅前で見かけるタピオカ店の看板は、台湾の街角では別の景色をつくっている。黄色と青の「50嵐」は、最大店舗数を誇る店でも、世界中に同じ名前を掲げるチェーンでもないのに、台湾では揺るがない存在感を保っている。
高雄の朝、背中に汗がにじむ店先で、隣の男性は湯気の立つ熱豆漿に油條を沈めていた。暑さから逃げるように冷たい飲み物へ手が伸びる場所で、その白い丼だけが熱を抱えている。